海外技術調査報告

国際会議 ICEC '95 / ICNN '95 およびオーストラリア国立大学における調査


Written: 95-12-5, Updated: 95-12-5.

調査者

RWCP TRC ニューラルシステム研究室  金田 泰

調査期間

1995 年 11 月 22 日 〜 12 月 2 日

調査機関または参加学会

a. ICEC '95 (IEEE International Conference on Evolutionary Computation '95) および ICNN '95 (IEEE International Conference on Neural Networks '95)
b. オーストラリア国立大学 (Australian National University)

調査目的

国際会議 ICEC '95 および ICNN '95 において発表および調査をおこなうとともに,オーストラリア国立大学において研究動向の調査をおこなう.

調査内容

a. ICEC '95 / ICNN '95

いずれの学会からも非常に新規な情報はほとんどえられなかった.

招待講演については,ICNN のほうが東大の甘利教授,University of South California の Prof. Arbib,Helsinki University of Technology の Prof. Kohonen などの大御所をあつめていたので,ICNN のほうをおもに聴講した. Kohonen の講演は self-organization feature map を拡張して不変特徴の検出器を 創発させる方法 ASSOM に関するもので, 彼の近刊書に 書かれているという.

ICEC についていえば, 進化的計算の基本機構についての研究はすでに成熟期にあり,その欠点をおぎなう ために他の手法とのくみあわせを試行した研究がめだつ.成熟期にあるのでより 完成度のたかい研究がもとめられているが,報告者が聴講したなかで,その点でもっ ともすぐれた研究は電総研の伊庭らによる Recombination Guidance for Numerical Genetic Programming だとおもわれた.あたらしい方向として免疫系の機構を模した 制御あるいは計算の機構があるが,免疫系の本質的な部分がとりいれられていない とおもわれる.

b. オーストラリア国立大学

ANU における複雑系の研究者との面談を希望したが,おもな複雑系の研究者である David Green が Charles Stuart University に教授として栄転したというので, 複雑系の研究者ではないが Dr. G. Weiller に面会した.Dr. Weiller は DNA や 蛋白質の列の解析などにかかわっているが,おもに解析結果のグラフィックスによ る表示の研究をしている.それについて話をきき,デモを見学した.何をどのよう に表示するかによって分子生物学などの研究へのフィードバックがきまるので,非 常に重要な研究である.

・総括

ICNN も ICEC も生物からまなんだ計算法に関する学会だといえる.今後の展開の ためにはあらたなモデルの開発が必要だとおもわれる.免疫系も可能性のひとつで ある.
Y. Kanada (Send comments to kanada@trc.rwcp.or.jp)