海外技術調査報告

国際会議 WCCI '94 および ALIFE IV における調査


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調査者

RWCP TRC ニューラルシステム研究室 金田 泰

調査期間

1994 年 6 月 25 日 〜 7 月 10 日

調査機関または参加学会

a. WCCI '94 (World Congress on Computational Intelligence, すなわ ち FUZZ-IEEE (IEEE Int. Conf. on Fuzzy Systems), ICEC (IEEE Int. Conf. on Evolutuonary Computation) および ICNN (IEEE Int. Conf. on Neural Networks) の 3 学会)

b. A-Life (International Workshop on the Synthesis and Simulation of Living Systems)

調査目的

国際会議 ALIFE IV においてポスター発表および調査をおこなう とともに,国際会議 WCCI '94 において研究動向の調査をおこな う.

調査内容

a. WCCI '94

3 つの分野のうち,ファジィ関係では Zadeh による講演を聴講し た.Zadeh は最近では古典的な Fuzzy 理論にとどまらない Soft Computing を提唱している.これは非形式的かつ正確でない計算だ が,それは実世界の非形式性や不正確性を反映しているのであり, 実世界以上に「かたい」知識を仮定すると情報処理はうまくいか ないと主張している.これは Real World Computing に関するひとつ の重要な哲学だと報告者はかんがえる.ICNN 関係で興味ぶかい 発表として G. Tesauro の Why does TD-Gammon Learn So Well があ る.これは Backgammon というゲームをするニューラルネットに 関する発表だが,とくに学習過程でノイズが有効にはたらくとい う点が興味ぶかい.

b. A-Life IV

人工生命に関する最初の学会であり,今回が第 4 回である.参 加者は数 100 人に達した.K. Sims の Evolving 3D Morphology and Behavior by Competition は直方体をくみあわせた人工生物が 1 対 1 のゲームをしながら進化する世界を実現し,興味ぶかいビデオが みられたが,進化 / 競争学習のモデルとしてはまだ粗末だとおも われる.報告者の The Effects of Randomness in Asynchronous 1D Cellular Automata は 1 次元非同期セルラ・オートマタにおいて計 算順序のランダムさがあたえる影響をしらべた結果を発表した. この発表以外にも非同期 CA をあつかった発表があり,また Santa Fe Institute の Gutwitz などとの対話ができて,有益な情報交換がで きたとかんがえられる.

・総括

WCCI '94 に関しては,すぐれた発表もあるが十分に錬成されてい ないものがおおかった.とくに ICNN では発表数があまりにおお く,全体を把握することは到底できなかった.ALIFE IV に関して は,とくに最初の 2 回にくらべると内容は低調だった.すなわち, 従来の手法の改良に関する発表がおおく,非常にあたらしい内容 をふくんだ発表はすくなかった.ただし,K. Sims のように,今後 のひとつの研究方向をしめしているものもあった.
Y. Kanada (Send comments to kanada@trc.rwcp.or.jp)