Path: trc.rwcp!rwc-tyo!news.iij.ad.jp!vcmei!ced.mei!chorus.mei!oskgate0.mei!odins-suita!saho!rcnpvx!ymizuno From: ymizuno@rcnpvx.rcnp.osaka-u.ac.jp Newsgroups: fj.misc.earthquake,tnn.disasters.earthquake Subject: NGO with Internet (2) Message-ID: <1995Feb14.032031.3219@rcnpvx.rcnp.osaka-u.ac.jp> Date: 14 Feb 95 03:20:31 +0900 Organization: Research Center for Nuclear Physics, Osaka Univ., Japan Lines: 107 Xref: trc.rwcp fj.misc.earthquake:1102 tnn.disasters.earthquake:404 水野@阪大(のボランティア)です. 先日,NGO の役割とその情報化について,大阪YMCAの主任の笹江さんと議論 する機会がありました.以下には,そこで得た情報も交えて,この問題に対 する私の意見を書きます。 現在,日本には,いわゆるNGOとかNPO(非営利団体)と呼ばれる団体が,なん と4,000団体近くもあるそうです.(これらは,政府の資金援助も正式に 受けるような,経常的に運営されている団体です。NGOというのは,海外への 援助協力が本来の仕事であるような団体。NPOは主として国内担当の組織です。) 2/11(土曜)の朝日新聞・「論壇」での外務省の方の投稿によると,日本に NGOは約3,000団体あるそうです. 我々のような自主的ボランティアの限界を越えて,現場からの期待を,定量的 な仕事として,その責任を取れるような組織が,やはり必要です。この,未経 験の大きな社会(巨大で多様で変化し続ける「被災から復興する社会」)とい う存在を,長期に渡って支え,これによって地域を組織していくのは,やはり 行政の責任です。 そしてその行政には,あきらかに今,機能拡充が必要です。しかしそれは,ど うも人事異動がせいぜいのようであり,それ以上の行政機能の拡張は簡単には 望めないようです。それならば,それを組織的に補完するのは,その道の仕事 のプロとしてのNGO/NPO(しかも大規模,おそらく数百団体のNGO/NPO)なので はないでしょうか。 もっと正確に言うと,ボランティアの今回の大活躍は,いくら評価してもし過 ぎることはない。けれども全体で必要なNGO/NPOの種類や,その規模を考えると, 素人の目に届く規模や種類,範囲での努力が,実は数限りなく無数に必要であ ろうと考えざるを得ません。従ってまた,それらの無数の努力全体としては, 殆ど独立に,また主体的に追及される活動となって,見えるように思います。 そしてこの規模の事業とか,それらの全体の調整という仕事は,もはや政治の 仕事ではないかと思われます.今回は,それほどの規模の問題である,という ことです. しかし,これが我々の手の届かない問題か,というと,とんでもない。行政機 関で出来る事と出来ない事が,今回まさに,はっきりしたわけです. 今回の阪神大震災で,登録されたボランティアの方々の数は,約60,000人, その内,既存の団体や行政で扱うことが出来た(従って,現在活躍している) ボランティアの数は,約15,000〜20,000人程度だそうです. 登録していない人も入れれば,これは巨大は力であることを,行政当局もよく 認識している訳です.外務省の方の「論壇」への投稿も,おそらく,伏線が あってのことなのでしょう.実際に,海外援助協力のきめの細かい対応は, 3,000団体ものNGOが,いはば外務省公認で分担,担当しているわけです. 結論を書くつもりではありませんが,この動きを活かせるような大規模な組織的 対応が今後,政治レベルで行なわれるかもしれません。またそれを具体的に受け 持つのはやはり,(私が当初予測したような,行政の非常勤職員ではなく), 我々のようなボランティアになる可能性が高くなってきていると思われます。 インターボランティア・ネットワークのような,コンピュータ通信を武器として 持つ方々にも,出来ればお願いしたいことがあります。それは,自分の身の 回りのNGO/NPO の方々の,組織としての情報武装にも,関心を持って戴きたい, ということです。是非,彼らの業務の情報化に,協力と援助をしてあげて戴き たいと思っております.お願いします. 出来れば各団体とも,NiftyとInternetの両方で情報武装する必要があると, 私は感じています. 現地のNGOも数百団体ありますから,このような「協力」そのものを,どう やって組織的におこなうか,それも大きな問題でしょう.それほどに,これは 規模の大きい話であることを,繰り返します。 いま現地で関係しているNGO/NPOは,全部で400団体ほどあるそうです。 その相互連絡や案内,調整,分担等のためだけでも,各NGO/NPOの情報武装は, 有効に利用できるでしょう。 また,それぞれに特徴を持つ各団体が,いわゆるニュース,メイル,mailing-list 等に参加できればまた素晴らしい。意見交換が瞬時に飛躍的に広域化できます。 今回の震災復興のような大事業においては,これは特に重要です。 さて,NGOの一つである大阪YMCAでは,いまInternetを試験的に震災復旧の業務に 援用することを当面の課題として,情報化に向けて準備をしているようです。 YMCA関係だけで,毎日600人が被災各地で働いているそうでして,毎日この数 で集めた現地レポートを(次の日のために)作っているそうです.これを適当に 整理して,入力が出来れば,Niftyの方々による情報とも合わせて,情報の共有 化の点でも,有用ではないでしょうか. さらに,NGOが地図(Niftyで始めた AltasMate)の内容のupdateを行う事も考え られます。もし組織的にNGO/NPOでこのシステムを採用できるなら素晴らしい. もちろん,行政もそのようなシステムに興味をもってくれたら,もっと素晴ら しいのですが。行政の既存の地図システムとの関係で,難しいのでしょうか。 2/14には関係NGO+NPO 140団体の連絡調整の機会があるそうです. もし,NGO/NPOの情報化が促進されるならば,このような組織が情報環境を主体 的に利用することが必要です.従って,情報関係の担当者が今後各NGO/NPO内部 に必要となります。しかしこの必要性はすでに,YMCA同盟では認識されている そうです.(この「認識」を広める活動を行うという点でも,IVN の方々の活動 は,その先導的試行として重要だと,私は思います。) ただし,普通のNGOでは,人もお金も設備も,ぎりぎりで活動が行なわれている そうです。ですから情報化については,急ぐ事は困難かもしれません。 このようなNGO/NPOの情報化と,広域の協力,分担の体制が,今後必要となりま すが,それを作って行くためにもやはり,我々のようなボランティアの働きが, 必要とされているようです.みなさんの周りで,コンタクトをとれる団体があ れば,是非一度,情報武装の必要性について,話をしてみて下さいませんか. やはり,具体的にこんな情報がある,こんな連絡ができる,という例を見せな がら,お話しをすると,分かり易いと思います.