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From: docile@ulis.ac.jp (yasushi -FEEL Mie- ikeda)
Subject: From Hisaichi (2/20)
Message-ID: 
Followup-To: fj.misc
Sender: news@ulis.ac.jp (bach Usenet News System)
Nntp-Posting-Host: mozart
Organization: Univ. of Lib. & Info. Sci., Tsukuba, Japan
Date: Mon, 27 Feb 1995 06:02:59 GMT
Lines: 167


図書館情報大学の池田です。
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転載元:SuperLinks 地震救援BBS(JISIN2)
転載者:池田 靖(SPL31244 / docile@ulis.ac.jp)
再転載:内容を変えずに、転載元を明示して行うこと。
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登録者   :SPL20078  浮木草                                  
タイトル :被災地より                              
登録日時 :95-02-20 17:57:38                          番 号 :319    

南極ネットより転載


=== <10580> フリートークテント 
NAN0095(南極熊), 95/ 2/18 00:39, 60行, 0(0)コメント
標題: 被災地だより
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杞憂じゃなかった?>

パソコン通信で情報サービスといううたい文句で郵政省下スタートしたと8日付けで
広報された、各避難所に設置したパソコンからホストにアクセスして情報交換をとい
うプランですが、ボランティア無線局の報告で、某小学校では「機械を置いて行かれ
たが、これをどうしたら良いの?電話線も来てないのだけど‥‥」という質問が飛び
出しました。早速関係各所と連絡を取り合って善処される方向である旨確認しました
が、災害対策本部側ではそのための電話回線を用意したと言うことでした。が、避難
所によってはそこへも他の電話機をつないでいて「あれ?どこにモデムを接続するの
?」ということになってしまうことも考えられるようです。いずれにしても、行政で
はこのプランの実施にあたり、更にメーカー側のSEなどを指導のために派遣する予定
だそうです。さて、求められる機構が思惑通りに動き出すまで、どのくらいかかりま
すでしょうか‥‥。前述の学校では教頭先生が担当で、避難所側からのたっての希望
で導入した形になっているそうです。ですが、本体がやってきた後がこんな具合。何
かの間違いであって欲しいのですが‥‥。
被災地からの要望、不足物資の類をこれに蓄積し‥‥という目論見のようですが、時
すでに救援物資の配送を中止する区も出てくるなど、事態は逆に縮小方向に向いてい
ます。そんな中で避難所から要望されてくる物資は、救援物資に含まれなかったり、
また、もう購入することも可能だろうと思われるようなものが多くなっています。そ
んな状態のところへパソコン通信が入っても、上がってくる物資の要望は三河屋の御
用聞きというか、パソコン通信で主婦が八百屋に食材を発注するというか、そんな雰
囲気のものになりかねない気がします。
物資を買える環境を取り戻すと同時に、避難所へは運用資金を援助する、というよう
な体制であるとか、或いは、食材を与え、調理は避難所へ任すというようなことが望
まれるのですが、衛生管理などの問題も絡み、なかなか理想には近づかないようです。
ローン漬けの苦悩を考えれば一円でも惜しいだろうし、そこに銭が要ると思えば、救
援物資で賄えるなら可能な限り賄いたいと思うのも無理からぬことだと思います。で
も、これを続けると正常な経済生活を営む社会人に復帰できなくなる危惧だってある
のです。20日を境にして、援助などの転換期がピークに達します。恐らく、来週の頭
にはこの手の問題が吹き出してくるのだろうと推察しています。

避難所の皆さんの疲労>

本当に皆さん疲れておられるようで、プライバシーのない苛立ちなども含めて、精神
的な面で脆くなっておいでです。昨日、ボランティアから報告された事象の中に、避
難所でのもめ事がありました。それは、ある班の方が飲用水で食器を洗ったというも
ので、自分たちは雑用水で我慢しているのになんだ、というわけです。水道が復旧し
てきたとは言え、まだまだだというのが、このような事で御分かり頂けますでしょう
か。普段なら怒るようなことではなくても、これだけ避難生活が続くと、些細なこと
でも怒りとなってしまうようです。水道水が出ないことで、皆さんの暮らしから水が
欠乏し続け、それは、心の泉も枯らしてしまうのでしょうか。メンタルケアがいかに
重要か、こんなことからも御分かり頂けるのではないかなぁ、と思います。

ボランティアの疲労>

これはご理解頂きやすいのではないでしょうか。交代してくれるイキの良いボランテ
ィアが来てくれれば良いのですが、初期に飛び込んでくださった方々に比べて、最近
やってくる方の中には、ボランティアを一種の流行として捕らえてるんじゃないかと
思われるような節までありまして、そうなると迷惑。皆が手探りで必死でやってきた
ところで、何かお手伝いをということであれば、自分で率先して仕事を探して片付け
られる方でないと、はっきり言って役に立ちません。そこのところを熟慮・納得し、
覚悟して長期で飛び込んで下さる方が求められています。とにかく、なかなかリーダ
ーの交代役を務められる方がおられないのが実情です。ボランティアに依存しないで
やってこられた避難所は良いのですが、どっぷり依存している処では深刻な問題です。
また、ボランティアリーダーに求められるリーダーシップの変質もあります。これま
では避難所の皆さんの代弁者として行政と渡り合ってくれるような方が、自然とリー
ダーになってきたような経緯もあったのですが、これからは平和な自治と思いやり路
線が必要になってきます。まるで、戦国時代の歴史を見るような気分です。

                              <南極熊>

=== <10600> フリートークテント 
*******(南極熊), 95/ 2/19 23:19, 73行, 0(0)コメント
標題: 被災地だより
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被災地だより

長田の消防現場の話と無線のこと>

前にホースを踏んだ車のことを書きましたが、そのほかにも大変なことがありました。
各消防署には、各々各県ごとの共通専用周波数と署ごとの周波数が割り当てられ、無
線機はその周波数専用になっています。ところが、今回の消火活動では違う地域の消
防が連携プレーでホースを39本連結し、間にポンプを配備して海から水を送ろうとし
ました。さて、最初の消防車が水をくみ上げ、水は次の連結箇所へ行きます。と、同
時に、消防士も900mを疾走し、次の連結箇所・ポンプの消防士へ「送水!」と叫んで
伝達。受けた消防士は、また次の消防士の処まで走り、また伝達‥‥と、無線がつな
がらない為に、とんでもない苦労をしていたのです。しかも、その間にも道路を横断
しているホースは踏まれ、結局最後には水は出ないか、出てもチョロチョロ‥‥。
消防無線の無線機用に全国共通の電波を一波作り、実装させていれば、こんな苦労は
なかったわけです。
他にも、様々な行政別に無線電波が割り振られていたがために、統括して連絡を取り
合うことが不可能だったといいます。政府の現地対策本部は、現場で作業にあたる様
々な機関と、一斉に連絡を取れないわけです。無線電波の長所をこのような場合に最
大限に活かすための、より熟慮した電波の配分が望まれるのだろうと思います。極端
な話、政府災害対策専用の無線機として、全部の周波数で運用できるむ無線機を準備
しておくだけでも、随分違うのです。(或いは、こんなことすら出来てないことを変
だと思われるかも知れませんね)

余震>

戻ったら、昼間二回余震があった由。ビールでも飲んでいると、また余震。TVでも情
報が報告された余震は久々。今日もまた揺れました。

避難所の格差とメンタルケア>

長田地域の避難所の荒れ方のすごさ(女性ボランティアを一人で派遣するのが躊躇わ
れる)とか、忘れられがちな宝塚市の被災者などといった問題が報告されています。
ここで、最も抜けてきたのメンタルケアについて、また目が向きます。日本的な根性
論で克服できるはずもない、ズタズタボロボロの心と今にも切れそうな神経の糸でか
ろうじてもっているところに、経済生活の見通しの暗さ、労働への復帰の難しさ、そ
して借金苦といったことが押し重なっています。皆さん良くご存じでしょうが、地震
保険だって、よしんば出たところで一時凌ぎの生活費のタシ程度でしかありませんし、
加入していない方がほとんどなのです。
街のあちこちで、倒壊した家屋の前に花が供えられています。かつては活力を感じさ
せた町並は、今はブルーシートが痛ましく、その向こうには廃材などを償却する炎が、
まるで地震直後の火災のようにゆらめいています。
このような環境の中で、本震で打ちのめされた心が疲れ果てているというのに、余震
が遠慮なく襲ってきます。
お願いです。どうか、宗教家の皆さん、メンタルケアに踏み切ってください。「大量
の」メンタルケア要員の派遣を是非お願いします。二人や三人で手の回る規模ではあ
りません。被災者は神戸市民140万人。そのうち避難所生活者は20万人を越えていま
す。宗派を問わず、宗教建築物を出て避難所やテント村に出向き、一人ひとりの話に
耳を傾けてあげてください。多くの無宗教の方々の心にやさしさを取り戻す、その手
助けをして下さい。炊き出しをするなら、避難所の皆さんと一緒に準備し、配ってく
ださい。皆さんとお話しするきっかけになるでしょう。避難生活するしかない方々の
苦境の重荷を、ほんのちょっとだけ下ろしてあげて下さい。

日帰り上京>

皆さんご存じの理由で日帰り上京しました。行きはぼんやりとした頭で、新大阪でみ
かやんとうまく合流できて一緒に。帰路は、これと言って買って帰ってあげようと思
うようなものも見つからぬまま、新大阪駅でばってらを買って快速〜各駅停車を乗り
継ぎました。芦屋の駅は傾いたホームの屋根を足場で支えています。西宮を越えてか
らは暗闇に倒壊家屋が潜んだ街を抜けます。人々の目が、私が持っていたうさぎさん
に貰った桜に向けられていました。その目に表情が緩むのを見て、「避難所に花を運
動」はメンタルケアとしてすごい力を発揮するのではないかと思いました。某TV局ス
タッフで無線ボランティアに長期参加くださった方の発案です。彼が東京に戻り次第
動くことになっていますが、うさぎさんが教えてくださった沖縄の方々の花をはじめ
日本中から花を避難所へ届けられたら、どんなに良いでしょうね。もうすぐこのプラ
ンも動くはずです。その時は、皆さんよろしくお願いします。
さて、駅から先は、門前に花が供えられた家々の前を通り、瓦が落ちそうな家の脇を
すり抜け、明かりの消えた家々をわき目に歩いて帰宅しました。戻った途端に、前述
の余震です。普通の生活が営まれている環境との往復や、普通の生活を営まれている
方々とのこのネットのような文章のやり取り。そして、外界との交渉事や無線ボラン
ティアの調整が、私にとっての心のリハビリになっていたんだなぁ、と痛感しました。
しどろもどろのアウトドアギア使用法説明会でしたけど、あんなんでも集まっていた
だけた皆さんの防災の心がけの一助に‥‥なるかなぁ(‥;)。

                             <南極熊>

-------- ここまで --------

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 M   池田 靖@図書館情報大学 (docile@ulis.ac.jp | net03444@asciinet.or.jp)
ミ‥ミ  My Homepage ... http://ulispsn.ulis.ac.jp:8001/~docile
 (  )〜 このこねこのこねこのここねこ
★明日を待つ気持ちに もう一度だけ賭けてみよう/信じるものに救われる 谷村有美★




編集: 金田 泰 (yasusi @ kanadas.com)
最終改訂 : 96-1-12