東日本大震災復興構想会議では,水産業の復興のために特区を創設して民間資金を活用するという宮城県知事が推進してきた案がとりいれられている. これに対して,漁業者などが署名をあつめて反対しているという. かれらは,東北だけでない日本の水産業復興のために自分たちがなにをすればよいのか,まったくわかっていないのではないだろうか?
水産業の復興のために国が資金をださなければならないのは当然だ. これだけ壊滅的な被害がでている以上,それなしでの復興はのぞめない. とくに,港湾や道路など,インフラの整備は国の資金でまかなう必要がある. しかし,それはむしろ一時的なものだ. 水産業を継続していくのは,漁業者自身もふくめた民間のちからであるべきだろう. ずっと国にたよって赤字をたれながすなら,日本全体をあやうくするだろう.
もしかしたら漁業者らはかんちがいしているのではないか. 「民間」 とは,まずもってかれら自身のことだ. 外からやってくる企業家にすべてをゆだねる必要もないし,それはのぞましいことでもないだろう. 復興構想会議の提言にも 「地元漁業者が主体となった法人が漁協に劣後しないで漁業権を取得できる仕組みとする」 とある. このような特区のかんがえかたに反対するということは,従来どおり漁協が権利をにぎり,硬直した体制をつづけるのがよいということなのだろうか. それは,これまでつづけてきた自滅への道をさらにいそいで,つっぱしることではないだろうか.
この震災は危機であると同時にチャンスでもある. このチャンスを漁業者たちがいかして,復興を実現させることをのぞみたい.
2011-7-2 追記: 民間資金を導入し競争原理を導入したほうが水産業の復興に有利だとかんがえられる. それにむけて県も国も漁業者を説得する必要があるし実際そういう方向にいくだろう. しかし,説得がうまくいかず漁業者のやる気をなくさせてしまったのでは復興することはできない. 特区が有効に機能しない方向にならざるをえない可能性もあるだろう. いずれにしても,国は打ち出のの小槌ではない. いずれは民間資金をいれることが必要になるだろうが,それがおくれれば復興がうまくいかなくなる可能性もあるだろう. ぎりぎりの交渉,ぎりぎりの再建ということになるかもしれないが,なんとか,うまくやってほしいものだ.