寺田寅彦の随筆は東日本大震災以来しばしば話題になる. 気になっているところに,まとめなおされて文庫として出版されたので,読んでみた. 内容は津波などの天災とくに関東大震災や国防,流言蜚語,日本人の自然観などに関する随筆集だ. そこではたしかに,著者の科学的知識と日本文化への理解とが調和している. しかし,自分の体験をそのまま書いたり,とくに調査したりせずに記憶にしたがって書いていることが,現代において特に有用なわけではない. どれもみじかい随筆なので,それほど深く追求しているわけでもない. かるいきもちで,過去のひとりの科学者のかんがえかたをなぞり,震災のひとつの記録を読めば,それなりにえるところがあるだろう.
評価: ★★★☆☆
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