IPv6 においては 1 個のインタフェースに複数の IP アドレスをあたえることができる. それらのアドレスはリンクローカル・アドレスとグローバル・アドレスというようにスコープがちがっていたり,一部がモバイル用だったり,一部がトンネリングにつかわれたり,マルチホームのためにつかわれたりする. このように複数のアドレスがあたえられていると,IPv6 によって接続する際に複数の送信元および宛先アドレスのうちのどれを選択するかをきめなければならない.
この問題にどのように対処するかは実装依存だが,RFC 3484 においてその一部となるべき送信元アドレスの選択法と宛先アドレスの選択法とが規定されている. すべての IPv6 ノードはこれらのアルゴリズムを実装しなければならないが,これらのアルゴリズムはアプリケーションや上位層プロトコルの選択に優先するものではない. RFC 3484 において規定された規則のなかで重要なものはつぎのとおりである [Hag 07].
- 同じスコープまたはタイプ (リンクローカルやグローバル等) を持つアドレスペアが推奨される.
- 宛先アドレスについては小さいスコープのものが推奨される (スコープが小さいほどよい).
- 推奨アドレス (非推奨ではない) が推奨される.
- ネイティブ IPv6 アドレスが利用可能ならば,移行用アドレス (ISATAP や 6to4 等のアドレス) は用いない.
- どの判定基準でも似たような結果になるならば,プレフィックスの共通部分が最も長いアドレスペアが推奨される.
- 送信元アドレスについては,一時的よりもグローバルアドレスが推奨される.
- モバイル IP 環境では,気付アドレスよりもホームアドレスが推奨される.
参考文献
- [Hag 07] Silvia hagen, “IPv6Essentials, Second Edition”, O'Reilly, 2007. (邦訳: 市原 英也 監訳, “IPv6 エッセンシャルズ 第 2 版”, オライリー・ジャパン, 2007).