IP マルチキャストにおいては,受信端末にのみ転送するために送信元のサーバ (S) を起点とし,その番組の受信を希望する端末を収容しているルータまでのツリー構造のトポロジーを構築する経路制御技術が必要となる. これらは通常の OSPF (Open Shortest Path First) に代表されるユニキャストのルーティング・プロトコルとは異なり,マルチキャスト専用のルーティング・プロトコルとなる.
コア網において使用されるマルチキャスト・プロトコルについては,これまで様々な技術が開発されてきているが,代表的なプロトコル群として PIM (Protocol Independent Multicast) があげられる. PIM のアルゴリズムの中でも PIM-SM (Sparse Mode) と PIM-SSM (Source Specific Multicast) を利用しているケースが多い.
- PIM-SM
- PIM-SM の場合,視聴要求を出す受信端末は送信サーバのユニキャスト・アドレス S を指定せずに,番組を識別するグループアドレス G のみを指定する. これを (*, G) と表記する.
- PIM-SSM
- PIM-SSM では視聴要求の際に S と G の両方を指定する. これを (S, G) と表記する.
- [Kim 06] 木村 丈治, “IP マルチキャスト技術 その 3 -マルチキャストルーティング-”, href="http://www.bcm.co.jp/itxp/2006/08/cat04/28103307.php, 2006.
PIM-SM においては S を受信端末が指定する必要がないぶんだけ受信端末の機能は簡略化されるが,コア網内では RP (Rendezvous Point) という機能を用いて受信端末の要求から S のソース・アドレスを解決する仕組みが必要になって制御が複雑になる. これに対して PIM-SSM は受信端末が S のソース・アドレスを指定する必要があるが,コア網内の制御は単純になるという特徴がある.