ホーム・ゲートウェイは,NGN をはじめとする今後の家庭や企業のネットワークと大域的なネットワークとをつなぐために不可欠な機器だとかんがえられる. ここではその定義やそれがみたすべき条件をあきらかにする.
ホーム・ゲートウェイとは?
アクセンチュア [Acc] によれば,ホーム・ゲートウェイはつぎの 4 つの機能を提供する機器である.
- ネットワーキング機能
- 広域ネットワーク (インターネット) と狭域ネットワーク (ホーム・ネットワーク) の物理的な接続やプロトコル変換による異なるネットワークの接続を実現する機能である. この機能により各機器同士,または機器と外部のサービス・プロバイダー間の通信が可能となる.
- セキュリティ機能
- システム攻撃からの防御,不正アクセスの防止や情報漏洩の阻止などにより,ホーム・ネットワークの安全な運用を可能とする. また様々なデジタル・コンテンツの権利処理やコピー・プロテクションの一部も担うこととなる.
- デバイス・マネジメント機能
- ホーム・ネットワークに接続される機器の自動的検知や状態監視を実現し,各機器の機能や技術的な要求事項を把握した上で,自動設定を行い機器の動作を保障するとともに,運用を容易にする機能である.
- サービス・コーディネーション機能
- ホーム・ネットワーク上の様々な機器やアプリケーションを連携させ,統合的なサービスを提供する機能である. 例えばこの機能により,ストリーミングでビデオを鑑賞中に電話が鳴った場合,自動的にライトが点灯しビデオにポーズをかけた上で,画面上に 「XXX さんから電話です」 というような表示を行うことが可能となる.
これらのうちネットワーキング機能とセキュリティ機能とは必須の機能だが,デバイス・マネジメント機能とサービス・コーディネーション機能も今後,徐々に実現されていくとかんがえられる.
標準化動向
つぎのような標準化組織がホーム・ゲートウェイに関する標準化をおこなっている [Acc].
- HGI (Home Gateway Initiative)
- フランス・テレコムやドイツ・テレコムなどの欧州の通信事業者が中心となっている標準化組織である. HGI は既存の技術標準をくみあわせてホーム・ゲートウェイの仕様化のための要求条件を作成している. 2005 年 10 月に最初の仕様をリリースしている.
- DLNA (Digital Living Network Alliance)
- 家電業界が主導している標準化組織である. IP 技術を基本とし,業界横断的なデジタル化を推し進めるためのオープンな相互接続基準の策定を進めている. 2006 年 3 月にはソニーも DLNA 標準を家電において全面的に採用することを表明している.
- ECHONET
- 白物家電のネットワーク化のための標準である. DLNA 仕様との相互接続規格の開発着手を発表した.
- OSGi (Open Services Gateway Initiative)
- ネットワーク・サービスのための JAVA ベースのコンピュータ環境の標準化をすすめている. リリースした第 4 版の仕様に対し,2006 年 6 月に最初の準拠製品を発表した.
参考文献
- [Acc] 論考 「デジタル・ホームの実現に向けて ~家庭向けインテグレーションの必要性~」, http://www.accenture.com/Countries/Japan/Services/By_Industry/Media_and_Entertainment/R_and_I/DigitalHome0607.htm,