工学院大学では他のおおくの大学と同様に,学生と教員とのやりとりのために CoursePower を導入した. 教室での授業をたすけるのが導入の目的だったわけだが,オンライン授業でもおなじように使用することはできる. しかし,あまり直観的でないインタフェースと,マニュアルがアクセスしにくいことで,すくなくとも私の場合はいろいろ問題がおこっている.
授業は基本的には G Suite を使用しておこなうことにしている. CoursePower をつかうと情報がいったんすべて大学のシステムを経由することになるので,オンライン授業でつかうとシステムがパンクする. そのため,大学を経由せずにオンライン授業ができる G Suite の使用が推奨されたわけだが,それならできるだけおおくの部分を G Suite をつかってやれば,統一的にできるとかんがえた. ただし,G Suite の機能がすべてつかえるようになっているわけではないので,一部は CoursePower をつかわざるをえない. レポートの提出は Google Form などをつかえばできるが,返却につかえるしくみは (もちろん G Suite にもあるのだが) CoursePower にたよることにした.
そういうわけで CoursePower をつかいはじめたのだが,つかってみるとうまくいかないことが多い. CoursePower でレポートを提出したのでなくても採点結果や添削したレポートを CoursePower でかえすことはできるのだが,そこでいくつか問題があった.
まず,ユーザ・インタフェース上の問題として,コメントや採点結果を書いても「登録」ボタンをおさないままだと書いたものがきえてしまうということがある. G Suite では書くとすぐに格納されるから,きえる心配はする必要がなかった. 一生懸命書いたものがきえてしまうことは web ブラウザでもよくあることだが,こういうインタフェースは非常にまずい. また,添削結果をアップロードしても「評価確定」するまでは学生につたわらない. しかも,つたわっていないこととつたわらない理由がなかなかわからなかった. さらに,「受講者 View」というのがあるのだが,それをみても個々の学生にどういう情報がつたわったのかはわからない. だから,添削結果や得点がつたわっていないことがわからない.
なによりも,インタフェースが直観的でないことがまごつく原因になる. 「登録」もそうだし「評価確定」もそうだ. どこに入力すれば (ボタンをおせば) 保存されるのか,学生につたわるのかが容易にわからない. しかも,入力結果が廃棄されることや学生につたわらないままになっていることが知らされない. まずいデザインのインタフェースでも警告メッセージが表示されれば気がつくだろう.
問題はインタフェースだけでなくて,わからないことをマニュアルでしらべようとしても,CoursePower のインタフェースからはマニュアルがアクセスできない. マニュアルが公開されていればネットで検索できるが,各大学内でだけアクセスできるようになっていて,Google で検索できてもアクセスできない.
こういうわけで CoursePower はあまりつかいたくはないし,客観的にみても他の選択肢をとるべき理由があるようにおもう. G Suite がすべてつかえるようになっていれば,たぶん CoursePower より便利につかえるだろう. すくなくとも,いまのままの CoursePower がオンライン授業でつかえないことがわかったのだから,なんらかの対策をとる必要はある. CoursePower の提供者はそれを改善することをかんがえるだろうが,基本的なアーキテクチャが,コロナ後にも必要になるであろう学外からのアクセスに向いていないのではないかとかんがえられる. CoursePower の導入にいくらかかったのか知らないが,まだ工学院大学ではこの 4 月からはじめたばかりなので,いまならきりかえることもできるのではないかとおもう.
追記 (2020-11-17): 上の文章を書いているときにはまだそれほど深刻ではなかったが,その後,返却したはずのレポートが学生から見えず,あれこれやってもなかなかうまくいかないことを経験して,CoursePower はほんとうに食えないシステムだとおもうようになった. 上記のように,これは捨てたほうがよいとおもう.
それにしても,いますぐ捨てることはできないので,なんとかつかわなければならない.そのために参考になるページとして,青山学院大学の「Course Powerの利用方法(教員)」がある.マニュアルをみてもわからないもしくは気がつかないことが,いろいろ書いてある.
追記 (2021-1-7): 期末に遠隔で試験をすることにしたが,その際にも G Suite だけではうまくいかないので CoursePower をつかった. 答案用紙の配布がおもうようにできずにこまったのだが,それについては別項で書くことにする.
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