まだ今期の講義はおわっていないが,とくに開始前と最初のころをふりかえってみたい. はじめての遠隔授業を 9 月から工学院大学で開始するまえに,それをどのようにすすめたらよいか,いろいろ情報をあつめようとおもった. 4 月から遠隔授業をしているわけなので,まず学内の経験がきけないかとおもったが,学内の Web などをさがしても情報はほとんどわからなかった. 前期の授業のシラバスなどをみてもコロナ前から変わっていなかった. つまり,コロナ禍の授業に関する公式情報は,マニュアルをのぞいて,ほとんどなかった.
遠隔講義のマニュアルは大学でだいぶ手をかけてつくってあったが,大半は自分の授業のやりかたに関係のないことが書いてあって,つかえなかった. つまり,そのマニュアルは事前に講義音声を録音して PowerPoint ファイルにいれる方法にちからをそそいでいた. それに対して私はリアルタイムで講義をするときめていたので,その部分はあまり役にたたなかった.
しかし,役にたった部分はあって,それは G Suite に関する部分だ. 工学院大学では Zoom やビデオの使用は禁止されていて,オンラインで講義するならそのかわりに Google Meet をつかうことがすすめられていた. 私もそれをつかうことにしたので,その部分は役にたった. たしかに,Web で情報をひろってみても,Zoom よりは Google Meet のほうがすくない帯域で音声をつたえることができるようだった. しかし,それは Zoom を禁止する理由としてはよわいだろう.
マニュアルでは Google Hangout の使用もつよくすすめていて,それもつかってみたが,学生はほとんど発言しないので,あまりつかえていない.ただし,一応ひらくことにしてはいるので,たまに学生からの応答がある.(2021-1-9 追記: Google Hangout は今年,廃止されるという.それにかわるのが Google Chat であり Google Meet との相性は Google Hangout よりよいようなので,今後はそれをつかうべきだろう.)
上記の Zoom と Google Meet の比較もふくめて他大学などからはある程度の情報がひろえた. しか,自分の授業のすすめかたの参考になるものはすくなくて独自のやりかたをとったために,混乱をまねくことにもなった. つまり,ひろった情報のなかには役にたったものもあるが,自分かやりたいかたちの授業,自分がつかえるメディアとはちがうものが大半だった. たとえば Google Classroom をつかった授業に書いてあるものがあったが,それは工学院大学ではつかえなかったので,あまり参考にならなかった. (2021-1-9 追記: G Suite (Google Workspace) をつかっている大学ではたいてい Google Classroom がつかえるようだ. これがないと学生と個別にやりとりするのがむずかしいから,必須だとおもう.)
そういうわけで,結局はほとんど独自にかんがえたやりかたで授業をすすめることになった. それは,このブログの別の記事に書いたように,G Suite の機能をできるだけいかす方法だ. Google Meet とともに Google Form をつかう. Google Hangout や Google Spreadsheet もつかったが,これらは最初におもっていたほどはつかえなかった. ただし,授業をはじめてから G Suite だけですませられないことがわかり,事前に検討していなかった CoursePower を不用意につかうことで,学生を混乱させることになってしまった.
2021-1-7 追記:
Google Spreadsheet があまりうまくつかえなかった理由は,学生がそれに書けるようになっていなかったからだということに,いまごろ気がついた.
「白板」(あるいは黒板) と呼ぶスプレッドシートを毎回用意していたが,それにアクセス権の設定をしていなかったので,学生は読めるが書けない状態だった.
学生が白板にアクセスしている様子はつたわってくるので,書けるように錯覚していただけだ.
試験のために学生が書けるスプレッドシートを用意したときにはじめて,そのことに気づいた.
2021-1-16 追記:
大学では「工学院大学の遠隔授業実施状況のご報告 (我々は何故ビデオ会議システムを選ばなかったのか)」という YouTube ビデオをつくっていたが,その存在を知らされていなかった.
そのため,最近まで知らなかった.
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