日立 FLORA-DM1 への Linux のインストール
Created: 96-2-18, Updated: 96-3-4
2 台の
FLORA-DM1
(Pentium 75 MHz, ディスク 1 GB,メモリ 16 MB) に Linux
をインストールした.Unix User '95 年 12 月号の CD-ROM に収録されている
もの (Slackware 3.0) を使用した.
2 つの点をのぞくとほぼ順調にインストールはすすんだが,
ここでは苦労した 2 点すなわちマウスと Ethernet ボードを中心に書く.
FLORA-DM1 の標準の設定では Windows (95 または 3.1) のためにすべての
ディスク (1 GB) がわりあてられているから,これを変更する必要がある.
MS-DOS 上で fips というユーティリティを使用して DOS のパーティションを
2 つにわける.fips はたとえば「Linux 入門」という本に附属した CD-ROM
にはいっている.私のばあい,DOS のために約 350 MB をのこした.fips
をつかうまえに DOS の defrag というユーティリティでファイルが最初の 350 MB
のなかにきちんとおさまっているかどうかを確認して,もしおさまっていな
ければつめあわせておく.
分割してえられた 650 MB のパーティションをブート・フロッピィで Linux
をたちあげたときに fdisk コマンドをつかって消去し,かわりに普通の
Linux パーティションとスワップ領域 (仮想記憶) のためのパーティションと
をとる.私のばあい,後者は 24 MB とった.これで実記憶とあわせて 40 MB
である.実際にスワップ領域を 24 MB もつかうとおそくてかなわないが,
いろいろプログラムをうごかしてもハングしないようにするには,このくらいの
スワップ領域をとっておく必要があるだろう.
FLORA-DM1 の CD-ROM は ATAPI (EIDE) CD-ROM ドライブである.ATAPI
ドライブのなかにはあつかいのむずかしいものもあるが,FLORA-DM1 に内蔵
された日立のドライブは,特別の設定なしで,
カーネル 1.2.13 のドライバでほぼ問題なくあつかう
ことができた.標準の設定では Linux のたちあげ時に CD-ROM をマウントする
ようになっていて,そこでエラーメッセージがでるが,それは致命的なものでは
ない.エラーメッセージをけしたければ,/etc/rc.d/rc.M から
/etc/rc.d/rc.cdrom をよぶのをやめればよい.そのかわり,こうすると
CD-ROM はつねにコマンドをいれてマウントする必要がある.
Slackware 3.0 に附属した binary kernel のなかでは idecd や
aha2940 などをつかえばこのドライブをつかうことができる.ただし,
idecd には NE2000 (Ethernet カード) のドライバがくみこまれていない.
ちょうど FLORA-DM1 のハードウェアにあったカーネルはないとかんがえられる
ので,私のばあいは,いったん idecd をインストールしたあとで 1.3.20
のカーネルをコンパイルした.このときに Soundblaster 16 も選択しておけば
よい.
インストールを開始した時点では FLORA-DM1 のマウスが PS/2 マウスである
ことを知らなかった.そのためにまわり道をした.最初から PS/2 マウスで
あることを知っていれば,問題なくインストールできたとおもう.つまり,
setup コマンドによる configuration 時と XF86Config ファイルの作成時の
2 回,マウスの種類をきかれるが,そのときに PS/2 マウスだとこたえてやれ
ばよい.私のばあいは,setup コマンドで MS マウスとこたえてしまったために,
configuration をやりなおす必要が生じた.X ウィンドウについては
後述する.
ふたをあけて Ethernet (LAN) ボードをみると,DLink DE200P という型番が書いて
ある (この型番は,マニュアルに書いてあるのとはちがっていた).DLink
DE200 (P のないもの) はほぼ NE2000 互換であり (ただし,完全互換ではない
という),Linux でサポートされている.しかし,この P がくせものである.
たぶんこの P は Plug-and-play の P である.Linux はこの PnP 機能には
対応していないので,PnP 機能をはずす必要がある.
PnP 機能をはずすには,LAN ボードのマニュアルなどといっしょにはいって
いるフロッピーを使用する.MS-DOS でこのフロッピーをつかって,マニュアル
にかかれているとおりにコマンドをいれて PnP 機能をはずす (マニュアルに
かかれているとおりに ``us'' というコマンドをいれないとうごかない).
私のばあい,IO アドレスは 300 (標準値),IRQ として 10 を使用するように
設定した.設定後最初の Linux たちあげでは Ethernet カードを識別した直後
にハングする (why?) が,リセットしてやりなおすとうまく動作するように
なる.これで Windows も問題なく動作する.
X ウィンドウの設定は /usr/X11R6/xf86config をつかっておこなえばよい.
ただし,これではディスプレイを 1024x768 や 1280x1024 に設定することは
できても,1152x870 に設定することはできない.私は 1152x870 がベストと
おもっているので,自分でパラメタを設定した.私が使用している XF86Config
はこれである.
FLORA-DM1 についているキーボードは日本語 106 キーボードである.
スペース・バーがみじかいためにまちがって無変換キーをおしてしまう
このキーボードは,私にはたえられない.また,
以前は SUN ワークステーションをつかっていたし,現在では Macintosh を
よくつかっているので,これらのキーボードとの互換性がぜひ必要である.
そこで,キーマップの変更が必要だった.106 キーボードで 101 キーボー
ドを完全にシミュレートすることは不可能だが,ちかづけることはできる.
ポケットマネーで 101 キーボードを買いにいくまえに,それをためして
みようとおもった./usr/lib/kbd/keytables にあるキーマップのなかから
自分がほしいのに一番ちかいものをえらんで,それをコピーしてかきかえる.
そうしてえられたキーマップを /etc/rc.d/rc.keymap でロードするように
する.このキーマップのなかで変更したおもなキーはつぎのとおりである.
- かなキーはできるだけ Macintosh にあわせる.
- Escape キーを `/~ (左がシフトなし,右がシフトありのときの文字) とする.
- 全角・半角 キーを escape とする.
- Caps lock と左側の control をいれかえる.
- 「ケ」キー (return キーのすぐ左) も return キーとする.
- 右シフト・キーのすぐ左もシフトキーとする.
- 変換および無変換キーもスペース・キーとする.
(変換キーは `/~ にすることもかんがえられる.)
- Backspace キー (最右最上段) のすぐ左のキーを \/| とする (これは 106
キーの標準値)
結果としてえられたキーマップはこれである.
ただ,このキーマップでは右側の ALT キーが機能しないという問題点がある.
これは,ALT →,ALT ← などのキー入力に不便だ.右側の ALT キーのコードが
左側の ALT キーとはちがうためだとおもわれるが,そのコードがなんであるか
はわかっていない.(知っていたら,だれかおしえて !)
関連ページ :
[日立 FLORA-DM1 のための XF86Config ファイル],
[日本語 106 キーボードで 101 キーボードをシミュ
レートするためのキーマップ].
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