金田 泰, 石田 和久, 布広 永二, 情報処理学会論文誌, Vol. 28, No. 6, pp. 567-576, 1987.
[ English page ]
[ PDF 版論文へのいりぐち (IPSJ) ]
要旨: 配列参照どうしのデータ依存関係としてフロー依存,出力依存および 逆依存があり,これらをグラフ化したのがデータ依存グラフである. 配列参照どうしのデーク依存関係は,従来,各配列参照の添字を 比較してその結果から直接もとめていたが,この方法ではプログラムの 制御構造を反映したデータ依存関係をもとめることがむずかしい. 筆者らは,多重ループの添字を解析することができる添字比較法と, 到達定義 (reaching definitions) や露出使用 (exposed uses) を もとめる変数の大域データフロー解析法とをくみあわせることによって, 条件文や多重ループなどの制御構造を反映したデータ依存グラフを もとめる,配列の大域データフロー解析法を開発した. この解析法では,データ依存関係をループ独立依存, ループ運搬依存などに分類することができる. ここで, ループ独立依存とはプログラム中のループ内の文を1回実行する あいだに生じるデータ依存関係のことをいい,ループ運搬依存とは それを 2 回以上実行することによってはじめて生じる データ依存関係のことをいう. この解析法によって, 従来より強力なベクトル化や最適化ができるようになった.
研究テーマ紹介: ベクトル / 並列計算機のためのプログラミング言語処理