To: ngo@center.osaka-u.ac.jp, quake-vg@kobe-u.ac.jp From: ngoteam@ns.osaka.web.ad.jp (ngoteam) Subject: [Kirokushitsu Tsuushin] vol.1 Cc: ...[中略]... Date: Sat, 17 Jun 95 11:17:49 +0900 舟橋@「震災・活動記録室」です。 遅くなりましたが、「記録室通信」第1号をお送りいたします。 今回は量的に盛りだくさんになってしまいましたが(疲れました・・・)、 次回からはもっとコンパクトにしていくつもりです。 皆様の率直なご感想をお聞かせ下さい。 転載は自由ですので、よろしくお願い致します。 -------------------------------------------------------------------- ----------------------------------- 記録室通信 16-June-1995 第1号 ----------------------------------- Quake Chronicle Project 震災・活動記録室 −はじめに− 「記録室通信」開始にあたって 皆様、いかがお過ごしでしょうか?「震災・活動記録室」です。先週、 すでに「準備号」という形でお知らせしていたのでご存じの方も多いとは 思いますが、今週から、私たち「震災・活動記録室」は「記録室通信」と いう形で対外的に情報を発信していくことになりました。 今後は毎週土曜日に発行していきますので、宜しくお願い致します。 なお、準備号では16日発行予定と書きましたが、1日遅れてしまいまし て申し訳ありませんでした。 「記録室通信」がめざすもの 「記録室通信」は、各地での記録を残していくという活動を促しつつ、 そういった活動を互いに結び付けてゆくために始まりました。今後は毎週 1回の割合で、各地の状況や様々な企画、公開可能な記録の紹介などを発 信していきたいと考えております。願わくば、この通信を通して我々・記 録室からだけでなく皆様からもいろいろな意見を出していただけるような 「双方向性」を持ったものにしていけたらと思います。皆様のご協力、宜 しくお願い致します。 (「記録室通信」担当 舟橋健雄) −現地での最新情報− ボランティアセンターミーティングの開始 3月末くらいから、神戸市の各区に「ボランティアセンター」を設置し ようではないかという動きが始まり、現在までに神戸市内各区のほとんど に「ボランティアセンター」が設置されました。しかし、設置はされたも のの、その中身についてはまだまだ議論の余地があります。そこで、その 中身についても議論して行こうと、NGO連絡会議が場所を提供する形で定 期的に話し合いの場が持たれることになりました。 このミーティングのそもそもの始まりは、神戸市各区の代表的なボラン ティア団体のリーダーが集まって話をする「区ボラリーダー会」でしたが、 先日6月2日(金)の「リーダー会」において、大きく方向転換をするこ とになりました。この2日の集まりには各区のボランティア団体のリーダ ーだけでなく、ボランティアセンターのスタッフや社会福祉協議会(県・ 市)の職員の方々なども参加し、同じテーブルで率直な意見交換が出来ま した。今後も、ボランティアセンター自体のあり方について真剣に考えて いけたらと思っております。 神戸大学総合ボランティアセンター設立 神戸大学に、「総合ボランティアセンター」というボランティア団体が 5月10日に正式設立されました。これは名前からすると、大学公認のセ ンターのようですが、実はまだ公認申請中の段階です。但し、個人ボラン ティア、ボランティア団体の情報交換の場としての位置づけで今後も永続 的な活動を続けていくということを予定しています。 活動内容としては、 ボランティアの窓口としての業務を中心に、単な るボランティアの派遣ではなく、ボランティア団体のニーズに対し希望者 が参加する形式で活動を行っています。最近は、ボランティアの人数が足 りない団体の方が直接ミーティングに参加して、ボランティア未経験の人 に対して活動内容を説明し、参加要請を行なうようになってきてます。他 にも、仮設住宅のシンポジウムを企画していますし、ニューズレターの発 行や研究会(毎週火曜日18:00〜)など、幅広く活動をしています。 −全国のボランティアの状況− 阪神・淡路大震災 学生ボランティア連絡会議 今回は、阪神地域を中心とした各大学間のネットワーク「学生ボランテ ィア連絡会議」についてご紹介致します。「学生ボランティア連絡会議」 とは、各大学のボランティア活動の情報を交換し、互いの活動をよりよい ものにしていこうという趣旨のもとに始まりました。今までに計4回の会 議を重ねてきましたが、今後は毎月第1日曜日に会議を続けて行くことに なりました。現在の参加大学は、以下の通りです。 神戸大、神戸商科大、神戸外大、神戸女子大、流通科学大、松蔭女子大 関西学院大、立命館大、龍谷大、同朋大、同志社大、京都大、仏教大、 日本福祉大 など 京都の大学は特に活発で、我々にニーズを知らせて欲しい、と言われて います。 −資料の紹介(6月16日現在)− これまでに記録室へ資料を寄せて下さった団体数は96団体、資料の種 類は約300種類に及びます。これらの資料を大切に保管させていただく と同時に、ただ保管するだけにとどまらず有効に活用してゆきたいと考え ております。これからも、皆様のご協力のほど宜しくお願いいたします。 (データ管理班:井上 団) −ひと<人>こと− このコーナーでは、私たちがインタビューをしていく中で出会った「ひ と」にスポットを当てて、皆様に紹介いたします。今回は第1回目という こともあり、先日の「やったことを記録に残すボランティア大集会」にも パネリストとして参加された、正村圭史郎さんをご紹介致します。 正村 圭史郎さん(27) 滋賀県彦根市出身 頭に巻いたバンダナと大柄で豪快な性格が特徴の正村さん。 高校を出てから全国各地を放浪。国内のみならず海外へも10ヵ国以上行 きました。全て日本語とボディーランゲージでとおし、おまけにヒッチハ イクという大胆さ。 91年6月、雲仙で噴火が起こった時、偶然にも鹿児島から長崎までの280 Kmを2週間かけて歩いている途中でした。長崎駅の休憩所でテレビを見て、 「土石流ってどんなんやろ」という好奇心から島原へ行ってみようと決意 しました。 7月4日に「雲仙災害ボランティア協議会」のメンバーとなり、以後3ヵ 月間いろいろなことを手伝いました。避難所のおじいちゃん/おばあちゃ んの話し相手、イベントの駐車場整理など。以後、3年間に計5回も雲仙 と行き来しながら今に至るまで島原と関わり続けています。 神戸に来た正村さんは、「駆けつけたボランティアのほとんどが、島原 での災害時の救援活動のノウハウを知らずに活動している」という事実に 気付きました。島原の体験が活かされていないこと・島原の記録が残さな ければならないということを痛感したのです。「島原は火山、神戸は地震 とまったく違うけれども、皆が結局同じことでつまづき、困っている。み んなは知らない、だから自分が話さねばならないんだ」という信念のもと に、正村さんはボランティアへのボランティア活動を始めました。つまり、 どこの団体へも属さず、ボランティアにとっての相談役に徹することに決 めたのです。その過程で、島原のみならず、大島・三宅島の噴火に際して も約1ヵ月の避難所生活を送っていた人々がいるのに、民間レベルでのノ ウハウが伝わっていないことにも気付きました。 「昔の災害の記録は、行政レベルでは伝わっていたのかも知れないけど、 結局災害が起こったときに真っ先に動くのは民間のボランティアだよ。だ けど、民間のレベルはそれほど高くもない。だから、ボランティアレベル での記録が必要になってくる。今、この場で記録を残しておけば、また災 害が起こっても記録が一人歩きしてくれるんだよ」と正村さんは言います。 「記録というよりももっと大きな意味で『歴史』を残していくことは、 神戸にしかできないことなんじゃないかと思う」と熱く語ってくれました。 P.S. 正村さんは現在、「島原アウトサイド(SOS)」という団体(といって もメンバーは一人ですが)を作って活動をしています。「七月以降のボラ ンティア活動について」という文章をインタビューの際に頂きました。最 近覚えたマッキントッシュで書いたそうです。 −記録室からの声− みなさんご無沙汰しておりました。お変りありませんか?実吉は、5月 の「記録シンポ」のまとめも済まないうちにサハリンへ飛び出して行き、 先週の金曜日に帰ってきました。帰国後も、22日前後に出す船の準備に 忙殺されて帰国報告もきちんと出来ないままに、船便の物資に同行して再 びサハリンへ赴くことになりました。今度は同じ記録室の白鳥君、文化情 報部の坂本さんも一緒です。AMDAから菊池さんという方もご一緒されます。 今回もまさに緊急の救援で、呼びかけに応じて多くの方々が、本当に大 変な時間とエネルギーをサハリン支援のために割いてくださいました。た だ、阪神・淡路の経験がどこまで生かされたか、私たちの「ネットワーク」 なるものが実際のところどれほど実体を持っているものであったかが問わ れた、またとないテスト・ケースでもありました。また、いくつかの団体 が協力し合うことが、緊急とはいえ、どうしてこれほど難しいのかと、ず いぶん考えさせられもしました。 サハリンで見てきたことの詳しい報告はいずれみなさんに見ていただき たいと思っていますが、まだまとめきれていません。行動が極端に制約さ れたこともあって大した情報収集は出来なかったと、残念ながら報告せざ るを得ません。現地で得られる情報はすべて断片的なものばかりで、なか なか全体像は把握できませんでした。 被災地と呼べるのは、ほぼネフチェゴルスクに限られています。したが って被災者と呼べる人は亡くなった方を除いて1200人ほど。救援の対 象が、そもそも阪神大震災とは桁が違っています。被災者は(6月9日現 在)まだネフチェゴルスクにかなりの数が留まっており、残りはオハ、ユ ジノサハリンスク、そしてウラジオストックほかの大陸の都市に入院して いて(重傷の人ほど後者)、ユジノサハリンスクの病院で見た限りでは被 災者の多くは、まだ助け出されたときの着のみ着のままの状態で入院して いました。 お国柄、文化の違いもあって、市民レベルでの連携、協力というものは ロシア正教会を始めとする教会関係以外には見るべきものがなく、送った 物資が被災者の手に届くためには慎重なコーディネートが必要である上に、 日本側の現地調整の混乱/不在もあって、単に物資を送るという仕事がと ても大変なことになっています。上にも書いた、いくつかの団体が協力し 合って支援活動をする際にどうしてもしておかなければならないこと、絶 対にしてはならないことなど、数多くの反省があります。 いまは余裕がありませんが、いずれ詳しくご報告いたします。今回のサ ハリンのことと阪神・淡路のことは別の2つのことではありません。「記 録室」の目指す、-災害時の経験の共有、そのための記録保存-にとっても 得難い経験にし得るし、またそうしなければならないと思います。「記録 室」は少数のしかも歳若い素人の集団で、至らないところは多々あると思 いますが、どうか長い目でお見守りください。もちろん、ご批判、ご叱責 には率直謙虚に耳を傾けてゆくつもりです。よろしくご指導をお願いいた します。 1995.6.16. 震災・活動 記録室 実吉 威 −ボランティア団体紹介− このコーナーでは、各地のボランティア団体をクローズアップして紹介 していきたいと思っております。特に、まだ現地で活動を続けている団体 を中心にして取り上げていく予定です。今回は、ボランティア団体ではあ りませんが、「灘区避難所連絡会」という避難所間の連絡調整などを行っ ているところを紹介いたします。 灘区避難所連絡会 灘区避難所連絡会は灘区の大規模避難所(小中学校、高校など)を対象 に運営形態や知恵の意見交換などの場として3月に発足しました。結成の 動機は灘ボランティアが被災者のための連絡会として行ったものです。 (現在は完全に被災者で活動しています。) 連絡会は毎週日曜日に灘区の神戸学生青年センターで行なわれており、 15回を数えるほどになりました。これまでの活動では仮設住宅の陳情や 避難所の活性化の問題などについて、(特に食べもの関係は盛り上がる) 和気合い合いとした雰囲気をもちながら議論が交わされています。 参加している避難所は12箇所(確実な数字は?)です。この数字が流 動するのは避難所の運営形態がころころ変わってしまうためです。最近で も稗田小が18日で自治会を解散することになってます。 記録は議事録がまず重要なものになっています。また、それ以外のもの も代表のパソコンにデータベース化されてます。 現在の問題点は人が集まらないことです。連絡会に参加する人は各避難 所の代表の方なので忙しくてなかなか参加することが出来ません。そのた め連絡会事務局が出向いて話を聞くというケースが増えてます。また代表 がパソコンを使え、メール連絡もできるのでそれを活用しています。 避難所にはまだ多いところで500人以上の方がいます。そのことを忘 れないで頂きたいと思います。 (取材協力:田中秀治さん 灘区避難所連絡会事務局長) −今週の記録室− 「震災・活動記録室」では毎週1回、ミーティングの時間を設けています。 今週の記録室ミーティングでは、具体的な話がいろいろと出て、内容の濃 い話し合いとなりました。 須磨区の鷹取中学校に集まるボランティアへのインタビューが始まった ほか、朝日ボランティア基地や中山手教会、六甲鶴寿園などで活動してい る方へのインタビューを予定しております。 また、電子メールを使ってのネットワークインタビューなども企画中です。 インタビューの際に貴重な時間を割いて頂き、ご迷惑をかけることとなり ますが、是非ご協力のほどをよろしくお願い致します。 これまでは取材の対象として、過去に活動を行ってきた各ボランティア 団体・グループを一つの単位としてインタビューやアンケートを行ってき ましたが、これからは神戸市各区に出来たボランティアセンターの設立に 至るまでの経緯をまとめることや、現在も活動を続けている各グループの 避難所や仮設住宅に対する活動も記録の対象にしていくことになりました。 現在収集している資料の恒久的な保存場所として、各図書館・資料館な どを考えています。そういった機関の関係者の方と連絡を取りあっていま すが、具体的に話が進めば、この場を使って皆様へお知らせしていきたい と思っております。 7月の下旬には、今までの「記録室」の活動を中間報告として発表する 予定です。今のところの予定では、地震後の援助活動における『物資』の 扱い方に焦点を当てて、物資の集積・配送・管理、梱包作業をする際の工 夫・注意点などを、各方面から集まった資料や、皆さんに伺ったお話をも とに、まとめていくつもりです。なお、今回のサハリンに対する生活物資 の援助活動も、その参考に加えられればと考えております。 (フィールド班:白鳥孝太) −Information〜情報の広場〜− ここでは、各地でのさまざまな情報を掲載させて頂きます。皆様からの 情報をお寄せ下さい。 ・放送文化基金主催シンポジウム 「阪神大震災の検証」 〜ライフライン情報と放送の役割〜 日時:平成7年7月18日(火) 午前10時〜午後5時 場所:大阪国際交流センター *入場(無料)ご希望の方は下記までお申し込み下さい。 財団法人放送文化基金 東京都渋谷区宇田川町41-1(〒150) Tel:03-3464-3131 Fax:03-3770-7239 ドキュメンタリー工房 大阪市北区大淀南2丁目6-3 島田ビル301(〒531) Tel:06-451-1119 Fax:06-451-226 ・関西福祉系大学救援グループシンポジウム 「学生はどう動いたか」 〜阪神大震災と福祉系大学救援グループ〜 日時:1995年7月1日(土) 13:30〜16:50 場所:大阪社会福祉指導センター5階ホール 主催:関西福祉系大学救援グループ *詳細は以下にご連絡下さい。 連絡事務所:大阪市立大学生活科学部人間福祉学科社会福祉学研究室 Tel:06-605-2847 Fax:06-605-3086 グループ代表:秋山智久(大阪市立大学教授) 「記録室」では、各地の情報を集めています。例えば、新たに記録 をまとめ始めたとか、シンポジウム等を開催するなどという情報があ りましたら、「記録室」までご連絡ください。(電話/ファックス/ 電子メール等、何でも結構です。) それでは今後とも、宜しくお願いいたします ***************************************************** 阪神大震災地元NGO救援連絡会議 「震災・活動記録室」 〒650 神戸市中央区栄町通4-3-5 毎日新聞神戸ビル3F Tel. 078-362-5951 Fax. 078-362-5957 Internet:ngoteam@mb.osaka.infoweb.or.jp Nifty-Serve:SHB00846 Url:http://www.center.osaka-u.ac.jp/people/wnn/www-kobe/index-jp.html *****************************************************