Date: Mon, 3 Jul 1995 15:42:41 +0900 To: ngo@center.osaka-u.ac.jp, quake-vg@kobe-u.ac.jp, vag@oskgate0.mei.co.jp From: ngoteam@mb.osaka.infoweb.or.jp (Local NGOs Co-ordinating Team for HANSHIN QUAKE Relief) Subject: [VAG 777] [Kirokushitsu Tsuushin] No.3 Cc: ...[中略]... 舟橋@震災・活動記録室 です。 土曜日に発信する予定のものが、事情により月曜日まで遅れてしまったことを お詫びいたします。(マシンがクラッシュしてしまったんです・・・現在修復中) でわ。 ----------------------------------------------------------------- ----------------------------------- 記録室通信 1-July-1995 第3号 ----------------------------------- Quake Chronicle Project 震災・活動記録室 −はじめに− 皆様、いかがお過ごしでしょうか。「震災・活動記録室」です。7月に入り、震災から もうすでに半年が過ぎようとしていますが、記録室ではこれからが勝負です。頑張って記 録を残していきたいという思いを新たにしています。それでは、第3号をお送りいたしま す。また、ご意見・ご感想などもお寄せ下さい。 (記録室通信担当:舟橋 健雄) −現地での最新情報− 育英高校文化祭「育英祭」、開催 6月24日・25日の2日間、育英高校で文化祭が行われました。震災から約半年、被 災地神戸に住み、そして神戸に学ぶ者として、この文化祭をきっかけによりよい神戸を目 指して歩んでいきたいと考えた高校生達の願いを反映して"RESTORATION(復興)"がテ ーマに掲げられました。 育英祭には、マスコミやボランティア団体から、映像資料や写真、ミニコミ誌、タイの 子どもたちの励ましの絵、そして雲仙普賢岳の情報などの生の記録が提供され、「自分た ちに何ができるのか」を問いかけるきっかけとなる展示を中心に開催されました。例年に なく盛況な文化祭となり、その中で改めてボランティア活動に興味を示した高校生もいた ようです。文化祭での経験を復興の第1歩として、今後も新しい神戸について考えていき たいと育英高校の生徒たちは気持ちを新たにしていたようです。 西神戸大学連合会、「神戸復興学生祭」開催 西神戸一帯の各大学では、「西神戸大学連合会」という大学間のネットワーク化が進み つつあります。 参加大学は、現在 神戸市立外国語大、神戸商科大、流通科学大、神戸学院大、 神戸国際大、神戸女子大 です。 この会は、各大学自治会のメンバー数人から構成され、学生ボランティア派遣を中心に 活動している「ぼらんてぃあ西神戸」のサポート的な役割も担っています。 さて、この「西神戸大学連合会」が、6月30日(金)にハーバーランド・スペースシ アターで「神戸復興学生祭」を行いました。連合会長の佐竹正範さん(神戸国際大学)に よると、その目的は次の2つでした。 1.ボランティアに対する学生の意識改革 2.遊びを通した神戸の学生のムードの高揚 1つ目の学生の意識改革では、ボランティアが堅苦しいものではなく、もっと楽しくや わらかいものであるということ、そしてそれと同時に、ボランティアがまだまだ必要であ り、神戸の学生だから今できることがあるということを、多くの学生に気付かせることを 目指し、トークタイムが設けられました。 2つ目の学生のムードの高揚というのは、神戸の復興に「学生もよくがんばった」と言 われるように、神戸の学生を活気付けようというものです。ゲームやダンスなどの遊びを 通して学生の団結力を生み、神戸の学生のムードを高めることが目指されました。 −ひと<人>こと− 東灘情報センター 島岡猛士さん(20)・森本太郎さん(19) 「2人で1人前なんですよ」と言う島岡さんと森本さん。でも、実際には1人では出来 ないことを2人でやり遂げて来た名(迷?)コンビなのです。今回は学生のボランティア ということで、東灘情報センターの2人にスポットを当ててみました。 見た目は穏やかで、のんびりしている島岡さんと、年下なのに島岡さんよりもしっかり しているように見える(?)森本さん、この二人が情報センターに入ったのが2月の下旬 のことでした。当時は、上にたくさんの人がいたので、その人たちの指示を受けながら動 いていたのですが、3月中旬になって、それまで情報センターの「顔」的存在であった人 が抜けてしまうことになり、その後継ぎとして地元の学生であった二人が選ばれたの です。 これを機に、二人は「目覚め」ます。 二人が渉外担当に抜擢されてからは、それまでの区の中だけの活動ではなく、区を越え た全市レベルでの動きを開始しました。神戸市内だけでなく、芦屋・西宮にも足を延ばし ました。これと時期を同じくして各区のボランティアが区の外へ目を向け始めていた ため、 この動きはスムーズに受け入れられました。 その後、区ボラリーダー会という各区のボランティアが集まって話し合う場にも参加し たりと、4月までは二人でいろいろと活動してきました。しかし、5月以降はそれぞれが それぞれの立場で動くようになりました。島岡さんは、一日体験ボランティアの世話をし たり、かまぼこの板で焼き板を作り仮設住宅の目印にしたりと、アイディアが浮かべばそ れをすぐに実行に移すアイディアマンとして動き、森本さんは、六甲アイランドへのふれ あいセンター設置のお手伝いや、ボランティアに対して実際にテントを張る実習の説明会 を行ったりと、六甲アイランドの仮設住宅に関わっています。そして、今でも活動の内容 は違っても互いのやっていることを理解し、互いの良さを認めあい、時には相談し合って 活動を進めています。 今後の東灘情報センターは、活動自体が以前よりは縮小傾向にあるのですが、今後も 「出来る限り頑張りたい」と語ってくれました。 −資料の紹介− 現在、記録室では皆様から寄せられた、約150団体、400点(6月20日現在)に も及ぶ貴重な資料を整理して、保管させて頂いております。その中から、実際にどのよう な資料が集まっているのかについて、これから記録室通信の中でも紹介して行きたいと考 えております。初回は、世界的に有名な "American Red Cross" (アメリカ赤十字社) が出した公式資料 ボランティアの心のケアマニュアル についてご紹介致します。 原本より東灘情報センター情報班が翻訳したものです。 要旨 被災地で長期にわたって活動してきたボランティアの心のケアについて、アメリカ赤十 字社は4つの提案をしております。被災地では、とりわけ長期のボランティアは、日常の 生活では体験できない数々の困難や試練に直面してきたはずです。 1 休みましょう 被災地にいるときから、帰郷後の時間の調整をして、ゆっくりと身体を休める ことが肝要です。 2 ペースを変えましょう 被災地でのペースと普段の生活のペースは違います。 3 わかちあいましょう 被災地にいた人と、通常の生活をしている人では大きな認識のズレがあります。 それぞれの経験が重要であることを忘れないでください。 4 自分の感情を理解しましょう 被災地から戻っても、周りの人があなたの経験談に興味を示さないことがあり ます。それによって、失望したり、フラストレーションがたまったりすること が考えられます。また、あなたの家族や友人が持ちかける問題は、被災地の人 たちの深刻な問題に比べると取るに足りない気がするかもしれません。 ここで、忘れてはならないことは、あなたの家族や友人が現在抱えている問題 も、被災地での被災者の問題と同様に切実であるということです。また、通常 の生活に飽きたらず、被災地へ戻りたいという思いに駆られることもあるでし ょう。こうした感情の起伏はあなたが被災地で経験してきた葛藤を乗り越える ための正常な反応です。時間が経てばこの状態はいずれ通り過ぎていってしま います。 (データ管理班 井上 団) −震災関連書籍の紹介− さて、今回から震災関連書籍の紹介もさせて頂こうと思います。このコーナーを通して 我々・記録室スタッフも勉強していこうと思います。皆様の方でも何かご推薦等ありまし たら、ぜひご連絡下さい。 酒井道雄編「神戸発 阪神大震災以後」 岩波新書(¥650) 震災から5ヶ月後にあたる、6月に刊行された本。 執筆した人は、被災地で実際にいらっしゃった方々ばかりで、まずその迅速な対応に驚 きます。今だからこそ、この手の本を待っていたと言えましょう。 医療従事者の立場、高齢者・障害者福祉の立場、在日外国人、市民の自治体、ボランテ ィア、避難所としての学校施設、まちづくり計画等あらゆる立場から、震災直後の神戸を 眺めた10名の執筆者の生の声が集められています。 震災直後に神戸に居なかった人にも、その緊迫した空気が伝わることでしょう。また、 ずっと神戸に居る人にとっても、自分の関わってきた世界とは違ったところでの様子を理 解することができます。 緊急救援の段階から、生活の復旧、町の復興の声が高くあがり、神戸も徐々に元の様子 を取り戻しつつあります。その一方で、今なお震災の痛手に苦しんでいる人が居ることも 事実です。 明るくなった町並みを見て、ほっと胸をなで下ろしたくなったとき、この本を手に 取り、 その経験からの教訓を心に留め、これまで活躍して下さった多くの方々に感謝を捧げる気 持ちを持ち続けていられるようにしたいと願っています。 −今週の記録室− 今週の記録室は、記録室専属スタッフが2人サハリンへ物資を届けに行っていることも あって、あまり活発な活動にはなりませんでしたが、精力的なスタッフが新しいインタビ ュー協力団体を開拓したり、シンポジウムやミーティングに参加するなど、従来通りの活 動が出来ました。 インタビューとしては、雑誌「婦人の友」の愛読者で構成されている神戸友の会や、神 戸紅茶(洗濯ボランティア)、えんぴつの家などにお邪魔しました。また、6月26日・ 27日に神戸大学総合ボランティアセンター主催で行われた仮設住宅に関するシンポジウ ムに参加したり、30日にはボランティアセンターミーティングに参加したりもしま した。 こうした現在進行中の、NGO救援連絡会議の活動に伴う記録や資料も、記録室として記録 に残していくつもりです。 サハリンに渡っている専属スタッフの2人は、7月上旬には帰ってくる予定ですが、報 告書作成などの作業のため、すぐに記録室の通常業務に復帰できるかどうかは分からない 状態です。 記録室では7月の末に中間報告を行いたいと思っており、そのことも含めて近いうちに スタッフ全員での今後の方針の再検討をする予定です。 −Information〜情報の広場〜− ・赤い羽根・神戸シンポジウム「これからのボランティア活動団体支援のあり方」 日時:7月4日(火) 13:00〜16:00 場所:楠公会館(JR神戸駅下車) (神戸市中央区多聞通3-1 Tel:078-371-0005) 参加申し込み方法: 1、参加者氏名 2、住所・電話番号・FAX番号 3、所属 等を明記の上 下記あてでFAX送信のこと 申し込み・問い合わせ先: 社会福祉法人 兵庫県共同募金会 TEL: 078-242-4624 FAX: 078-242-4153 〒651 神戸市中央区坂口通2-1-18 県福祉センター内 ***************************************************** 阪神大震災地元NGO救援連絡会議 「震災・活動記録室」 〒650 神戸市中央区栄町通4-3-5 毎日新聞神戸ビル3F Tel. 078-362-5951 Fax. 078-362-5957 Internet:ngoteam@mb.osaka.infoweb.or.jp Nifty-Serve:SHB00846 Url:http://www.center.osaka-u.ac.jp/people/wnn/www-kobe/index-jp.html *****************************************************