Date: Tue, 22 Aug 1995 12:30:55 +0900 To: ngo@center.osaka-u.ac.jp, vag@oskgate0.mei.co.jp, quake-vg@kobe-u.ac.jp From: funaken@ccs94.cla.kobe-u.ac.jp (Takeo Funahashi) Subject: [VAG 21] [Kirokushitsu Tsuushin] No.8 ...[中略]... ---------------------------------------- 記録室通信 19-Aug-1995 第8号 ---------------------------------------- Quake Chronicle Project 震災・活動記録室 −はじめに− 皆様、いかがお過ごしでしょうか。「震災・活動記録室」です。暑い夏がま だまだ続くこの時期ですが、お互いに頑張っていきたいですね。それでは、第 8号をおおくりいたします。今後ともよろしくお願い致します。 (「記録室通信」担当:舟橋 健雄) −記録室通信とは− 記録室では震災後のボランティア活動の記録を残すことを目的として、アン ケート調査、インタビュー取材などを中心に活動してきました。同時に各団体 から活動の資料を提供していただき、目録を作成して将来公開するための準備 を進めています。そして、活動の中で出会ってきた皆さんとの情報交換の場と して、また新たな出会いの場として、毎週「記録室通信」を発行しています。 被災地での最新情報、全国のボランティアの動き、支援活動でつかんだノウハ ウの紹介等の発信を考えています。 −全国のボランティア状況− 〜東海圏での動き:「震災から学ぶボランティアネットの会」〜 今回は、東海圏での大きなボランティアネットワーク化の動きとして、 「震災から学ぶボランティアネットの会」をご紹介いたします。これは、今回 の震災で「ボランティアをする方も、される方も多くが初めてだった」という ことで起こった様々な問題、特に「ボランティア同士を結ぶ線がうまくつなが らなかったこと」を反省材料に、今後東海地域でも同様の震災が発生した場合 に、ボランティアネットワークを最大限に利用した活動が出来るように結成さ れました。そして、同時に東海地域からでも支援出来るボランティア活動を引 き続き継続していくとのことです。 具体的な方向性としては、名古屋市・愛知県などといった行政との連携を重 視していくこと、特に名古屋市が「名古屋市7−9年度推進計画」の震災対策 としてボランティアとの連携策作りを重点課題としたことに伴い、その一翼を 担えるような情報の提供を行っていくことが一つ。そして、阪神・淡路大震災 で学んだ教訓を十分に生かし、東海地域での防災計画に役立て、特にボランテ ィアに関するその役割や、外部からの受け入れなどの体系をまとめ、小冊子に していくなどして地域社会に還元していくことなども挙げています。 このようなネットワーク化が進むことで、再び震災があったときにより良い 対応が出来るようになることを願いつつ、この会の今後の活躍を祈りたいと思 います。 参加・協力団体としては、 自立の為の道具の会、日本福祉大学 阪神淡路大震災被災者支援センター、 アジア保健研修所、あすけっと、同朋大学ボランティアネットワーク、 ひらき座、愛知県立大学生協、名古屋YWCA、風呂バスボランティア連絡会 などがあるそうです。詳しくは以下の連絡先までお願い致します。 【問い合わせ・連絡先】 事務局長:粟田 暢之(同朋大学学生課) Tel:052-411-1111 内線383 Fax:052-411-0333 −特集− 〜帰ってきたミニコミ誌!〜 8月に入ってから、特に神戸市内の各地で「ミニコミ誌」が生まれています。 その中には、以前発行していたもので一旦発行停止状態になっていたものが、 再び発行を開始したというものがあります。今回は、そういったミニコミ誌を 中心にいくつかご紹介致します。 1、須磨区:「須磨居留(すまいる)通信」 (アルティック須磨ボランティア 8月1日 第1号発行) これは、3月末まで須磨区役所内で活動をしておられた「須磨ボランティア」 のメンバーが、熊本・玉名市からやって来られた「蓮華院国際協力協会」と協 力して7月末に結成した「ARTIC須磨ボランティア」が発行しているミニ コミ誌です。このミニコミ誌は、須磨区での仮設住宅に住んでおられる方々へ の通信誌として発行を開始しました。実は、このミニコミを担当されている方 は「須磨ボランティア」時代からミニコミ誌を担当されていた地元の女性なの です。ですから、この「須磨居留通信」は、ある意味で『帰ってきたミニコミ 誌』と言ってよいのではないかと思います。手渡しを中心とした地域型のミニ コミです。月2〜3回発行予定。 連絡先:神戸市須磨区西落合7 名谷公園内 アルティック須磨ボランティア Tel:078-795-2855 2、中央区:「新・中央なんでもかわら版」 (中央区ボランティアセンター 8月15日 第1号発行) これも、名前を見て頂いてお分かりになると思いますが、4月末まで「中央 区ボランティア」が発行していた「中央区なんでもかわら版」が『帰ってきた』 形だと言えます。中央区ボランティアは5月14日に「神戸わんぱく祭り」と いうイベントを行った中心団体なのですが、その準備のために「かわらばん」 の発行が停止し、以後その状態が続いていたのです。しかし、「中央区ボラン ティアセンター」として活動を永続化することになってから、「中央区ボラン ティア情報部」の方々が中心となって発行を開始する運びとなったのです。今 後は、区役所からの情報・ボランティアセンターからの情報・新聞や情報誌か らの生活情報・ふれあいテントなどのイベント情報など、「生活に密着した情 報をできるかぎり載せて」いくとのことです。これも、手渡しを中心とした地 域型のミニコミと言えるでしょう。月2回(中旬・月末)発行予定。 連絡先:神戸市中央区雲井通5丁目1-1 中央区役所9階 中央区ボランティアセンター内 情報部 Fax:078-232-1244 3、灘区:「NADAボランティア通信 かたつむり」 (灘区ボランティアセンター 8月18日 第1号発行) 灘区には、「灘ボランティア」と「灘ボランティアセンター」が別々に存在 しています(勿論、互いに連携はしっかり取っていますが)。ですから、これ は上記の2つと比べると『帰ってきたミニコミ誌』とは言い切れない所があり ますが、大変面白いものですので、ご紹介致します。神戸市の花である「あじ さい」に対して「かたつむり」と命名したということですが、このミニコミ誌 は、灘ボランティアセンターで働いておられる専従ボランティアスタッフの方 が作成しておられます。実は、この専従ボランティアの方も、もともと「灘ボ ランティア」で活動しておられた方なので、そうい意味では『帰ってきたミニ コミ誌』と言えなくもないのではと思います。内容としては、ボランティアセ ンターに登録されている地元の方々を対象に、センターの近況報告と今後の活 動報告、講座などのインフォメーション等を考えておられるようで、ボランテ ィアセンターの活動をより良いものにしていくための潤滑油のようなものにな るのではないかと思います。これは、上記の2つとは違って主にFAXや郵送 で発信するミニコミ誌です。「次号はいつ出るかお楽しみに」との事でした。 連絡先:神戸市灘区神ノ木通3丁目6-18 灘区役所1階 灘区ボランティアセンター Tel/Fax:078-871-7549 #、おまけ:「じゃりみち」 (NGO連絡会議・仮設住宅支援連絡会 8月18日 準備号発行) この場を借りて、恐縮ですがもう一つ「おまけ」として『新しく生まれたミ ニコミ誌』、「じゃりみち」をご紹介致します。このミニコミ誌は「仮設住宅 支援連絡会」が、仮設住宅に関係するボランティア団体向けに様々な情報を発 信し、互いに連携を取りあっていくために役立つことを目指して発行されまし た。いろんな意味でも「記録室通信」とは兄弟関係にあると言えます。今後は 「記録室通信」と「じゃりみち」、それから以前からNGO連絡会議が発行し 「かわらばん」の3誌が内容的に重複せず、かつ補完的に機能するようになれ ばと思っています。これも「記録室通信」同様、FAXでの発信を主とした ミニコミ誌です。隔週で発行予定。 連絡先:神戸市中央区栄町通4-3-5 毎日新聞神戸ビル3F 仮設住宅支援連絡会 Tel:078-362-5951 Fax:362-5957 (特集担当:舟橋 健雄) −震災関連書籍の紹介− 野田 正彰 「災害救援」 岩波新書 \650 現在、京都造形美術大学教授で、精神病理学者である著者が、奥尻・島原・ 阪神大震災と被災地に何度も足を運び、調査して真の救援とはどういうことか を追求した本です。 まず、著者は危機への対応のあり方にその社会の本質が現れると書いていま す。阪神大震災では“心のケア”という言葉が流行し、マスコミも学者もこぞ って傷ついた心を癒すことが大切と報道しましたが、実際には精神医学的支援 が充分に行われたとは言えないのが現状です。地震によって建物・人体・心の 順に傷つき、復興とは地震によって破壊された逆の順に進んでゆくべきものな のに、いかに被災者の側に立った救援が難しいものか、現代日本を映し出す経 済至上主義が災害救援にも貫かれているかを様々な例をあげながら鋭く批判し ています。 まとめとして、救援者は災害時の急性ストレス体験をできるだけ表出できる ように災害精神医学的援助を行うこと、外部から援助に加わりたいと思う人は 被災者の顔の見える交流と援助を創意工夫すること、救援の文化は個々人が創 ってゆくもの、そして援助の最終目標は、被災者の人間社会への信頼の回復、 被災者による新しい地域社会のイメージ形成であることを忘れてはならないと 書いています。大震災に遭遇し、ボランティアに関わった者の一人として、深 く心にしみる言葉です。 (季村 範江) −ひと<人>こと− 神戸市立中央市民病院 浜畑 啓吾さん 今回お話を伺いました浜畑さんは、ポートアイランドにある神戸市立中央市 民病院に小児科医として勤務されています。 普段、子供達と接している姿を想像させるような穏やかな口調で震災直後の 町の様子などを語って下さいました。 1月17日早朝、神戸市兵庫区の自宅で地震に遭った浜畑さんですが、その 直後には町がこれほどのひどい被害を受けているとは思えなかったようです。 しかし、空が次第に明るくなってくるとともに被害の大きさを知り、ご自宅の 近所では人の生き埋めになった家屋もあり、その救出の手伝いなどをしながら ポートアイランドの病院に向かいます。 到着するまでずっと心配をしていた病院の入院患者、特に小児科の子供達の 無事を確認した浜畑さんでしたが、中央市民病院は地震により大きな被害を受 けました。屋上にある水のタンクが崩れたことや、エレベーターが使えなくな ったこと、また停電により、しばらくの間は懐中電灯の明かりをたよりに傷の 縫合をするなど、異常な状態の中での救急の処置を余儀なくされました。その 他にも、水の確保や、市内がどうなっているのか必要な情報を把握すること、 など非常に厳しい状況の中で様々なことがあったようです。また、停電が続い たため、人工呼吸器をつけた患者のために看護婦さん達が手で人工呼吸のため のバッグを押し続け、最終的にはそれから58時間も続いたそうです。 そういった困難な状況の中、浜畑さんは自分自身にも、他の医師達にもこん な言葉を言い聞かせていたようです。 「いつもと同じ事をやっとったんではあかんで・・・」 これは「医師」としての浜畑さんの行動のみに必要な言葉ではないようです。 「災害」や「事故」など普段にはない異常な状態に私たちが置かれたとき、普 段とは違う大変な状況の中で、普段と同じ事を考え、同じ事をしていては、な かなか前に進めない。一つずつ新しい工夫を見つけていくことが必要なのだと 考えさせられました。これからのボランティア活動や、町づくりにも同じこと が言えるのではないでしょうか・・・ 地震後の数カ月間、ポートアイランドの市民病院以外でも、長田区や東灘区 で様々な経験をされた(ここでは長くなってしまうのでご紹介できませんが・ ・・)浜畑さん。「自分がたまたま医師であったので、出来ることをしました。 もしどこかでまた災害があれば、今回のこの経験を活かして頑張りたい」とお っしゃっていたことが印象に残りました。 ☆浜畑さんは、地震の後に経験をされた出来事を『混乱の中央市民病院』とい う文章にまとめておられます。 (白鳥 孝太) −Information〜情報の広場〜− 『がんばろうNADA祭』 今月の末に、灘区で「がんばろう!NADA祭」という祭りが行われます。 これは、灘区ボランティアセンターを中心にして、灘区内の複数のボランティ ア団体が協力して創りあげようとしているところが特徴だといえます。 具体的な、参加・協力団体としては、灘ボランティア、ひまわりネットワー ク、楽々、被災「障害」児・者支援の会、六甲庵、クリエイティブジャパン、 神大ボランティアセンター、熊さんの炊き出し隊などがあげられます。このよ うな、それぞれのボランティアの良さを生かしたイベントが無事成功すること を祈りつつ、以下に日時・場所等を記します。 日時:8月27日(日) 15:00〜20:30 場所:稗田小学校グランド(阪急王子公園駅下車) 内容:屋台(100円均一)、フリーマーケット、カラオケ、こども広場、 車椅子オリエンテーリング等 問い合わせ:灘ボランティアセンター Tel:871-7549 ----------------------- 「震災・活動記録室」では、震災後のボランティア活動に関する資料(活動 記録・日誌・写真・ビデオ等)を集めております。これら貴重な記録を後世に 残すためにも、皆様のご協力、宜しくお願い致します。 また、「記録室通信」への投稿も受け付けております。ご意見・インフォメ ーションなどありましたら、ご連絡下さい。 ***************************************************** 阪神大震災地元NGO救援連絡会議 「震災・活動記録室」 〒650 神戸市中央区栄町通4-3-5 毎日新聞神戸ビル3F Tel. 078-362-5951 Fax. 078-362-5957 Internet:ngoteam@mb.osaka.infoweb.or.jp Nifty-Serve:SHB00846 Url:http://www.center.osaka-u.ac.jp/people/wnn/www-kobe/index-jp.html *****************************************************