ソフトウェア研究者の私がどうやってインターネットで論文を検索し,入手しているかということを書いてみたいとおもいます. 検索するとき,おもなソースはつぎの 3 つです.
コンピュータやネットワークの研究開発をしている関係上,これらの分野の論文を 検索・入手する必要性にせまられることがおおいのです. インターネット上で論文を検索したり入手したりできるようになるまえは,いまからおもうと論文の検索や入手はたいへんでした. 企業の研究所につとめている私には,関連するジャーナルや会議録などを直接,網羅的にみることはできません. カバーしている分野がひろいわりに予算はかぎられているからです. 私が入社した当時は文献検索にはかなりの費用がかかりましたし,文献のコピーを入手するにはさらに費用が必要でした. いまでも購読していないジャーナル論文などの入手に費用がかかることにかわりはありませんが,必要な論文の大半はインターネットからただちに入手することができるようになりました.
ほしい論文が特定できないときや出版元がわからないときはまず Google でさがせばよいのですが, ACM とわかっていれば ACM Digital Library,IEEE とわかっていれば IEEExplore をさがすことができます. ACM のばあいは 100 ドル強はらえばすべての論文がアクセスできるので, (会社も契約しているが) 個人でもアクセスできてよいとおもいます. IEEE にはソサエティごとの電子図書館もあり,それは 100 ドル程度のコストですが,私のばあい興味が複数のソサエティにまたがっているので,個人で全部ははらいきれません. したがって,会社が契約している IEEExplore から IEEE に関するすべての論文を入手しています.
ACM や IEEE からはアクセスできない論文のうちのある程度の部分は CiteSeer でアクセスすることができます. 最終版の論文は出版社などが権利をもっていてアクセスできなくても,ふるい版の 論文が大学のテクニカル・レポートなどのかたちでアクセスできて,とりあえずはそれで情報をえることができることがおおいのです. CiteSeer のよいところは,論文どうしの参照関係や関連にしたがって論文をたどっていけることであり,キーワードだけではさがせない関連文献をみつけるには非常に有効です.
ほかにももっとちいさな情報源はいろいろありますが,そういう低コストの情報源からはどうしても入手できないものだけ,より高コストの,あるいは時間がかかる情報源から入手すればよいとおもいます. 最近は,米国のジャーナルなど,会社の図書室にある文献でもコピーするには著作権料をはらわなければならないので,Web から入手するよりコストがかかります.
追記
上記の文を書いたあと,Google Scholar をつかう機会がありました. CiteSeer ではみつけられなかった 論文をいろいろみつけて,これもつかう価値があると感じました.