いろいろな本ですぐれたグラフィック・デザインをみせているリチャード・ワーマンは,情報を組織化する 5 つの基準をしめしています. これらのうちの 3 つがちょうど,私がかつて開発してきた軸づけ検索法の 3 種類の軸に対応しています.
リチャード・ワーマン (Wurman) は 「それは 「情報」 ではない」 (MdN Corp., 2001) という本のなかで, 「情報を組織化できる基準はつぎの 5 つだけである」 といいきっています.
- カテゴリー
- 時間
- 位置
- アルファベット
- 階層
私だったらそこまでいいきる自信はもてないのですが,これらの基準が情報を組織化 (整理) するうえで重要であることはまちがいありません. これらの基準のうちカテゴリー,時間,位置についてはあまり説明の必要はないでしょうが,他の 2 つについてはすこし説明をくわえておきます.
「アルファベット」 という表現はワーマンがアルファベットの文化圏にいるからこういう表現をしているのであって,日本であれば 「50 音順」 ということになるでしょう. 辞書や百科事典における項目の組織化はこれにしたがっています.
「階層」 という表現は,ワーマンの以前の本 (「情報選択の時代」,日本実業出版社, 1990) では 「連続量」 という表現になっていました. つまり,おおきさや価格などによって組織化することを意味しています. 「階層」というのはそれをより一般化したつもりなのでしょうが,意味がわかりにくくなっているようにおもわれます.
軸づけ検索は検索結果を組織化してみせる検索法ですが,おおきくわけてつぎの 3 種類の軸があります.
- 年代軸
- 地理軸
- 数量軸
これらはちょうどワーマンの 3 つの軸,つまり時間,位置,階層 (というよりは連続量) に対応しています. 軸づけ検索は百科事典の検索を目的として開発しましたが,これら 3 つがちょうどもともとの百科事典にない軸になっています. つまり,百科事典の項目は 50 音順またはアルファベット順にならんでいて,またその索引においてはカテゴリーによって組織化されています. 百科事典のなかにある年表などは時間によって組織化され,地図などは位置によって組織化されていますが,それらは百科事典のなかの一部の情報だけを組織化するためにつかわれています. これに対して,軸づけ検索においては百科事典全体から検索された情報を組織化するために,これらの軸がつかわれます.
軸づけ検索について,くわしくは軸づけ検索 (テーマ検索) のページから論文をたどってください.