報告書や口頭のプレゼンテーションのための資料・スライドでは,箇条書き,表,図式などが多用されます. プレゼンテーション資料・スライドで箇条書きがつかわれるのは万国共通なのではないかとおもわれますが, とくに日本では報告書等に図表が多用されるのが欧米にはない特徴的なことなのではないかとおもわれます.
会社では会議資料をつくるとき,図表を多用することがもとめられます. この点は会社ごとに程度がちがうとおもわれますが,私が知っているかぎりでは一般的な傾向です. また,日本政府が発行するさまざまな白書は,そのページの半分以上が図表でうめつくされています.統計的な数値にもとづいて客観的に施策がきめられているということをしめそうとしているのだとはおもいますが,それにしてもちょっとおおすぎるのではないかとおもってしまいます.
箇条書き,表,図式などの手段はその項目間にある複雑な論理的な関係を省略し隠蔽します. それゆえに “わかりやすく” なっているのだとおもわれます. 最終的には複雑な関係を理解してもらう必要があるとしても, まずはそれをかくして単純化したほうがとりつきやすいということです. プレゼンテーションのためのスライドは文章をよむときのようにずっと追跡するものではありません. したがって,ときどきみるだけでも必要な情報がすぐにとりだせるように「あたまだし」が必要であり,そのためには箇条書きや表が効果的だとおもわれます.
しかし,省略された論理はおぎなわなければなりません.プレゼンテーションのばあいはそれは説明によっておぎなわれる必要があります.しかし,これまで私がみたかぎりでは,プレゼンテーション技術などについて書いた本にはあまりそういうことが書いてなかったようにおもいます.また,報告書のばあいは図表であれば地の文章で論理を説明する必要があります.箇条書きについても,くふうする必要があります.