ヒューマン・インタフェースは今後どのように発展していくのでしょうか? ずいぶんまえから,GUI (Graphical User Interface) や WYSIWYG (What You See Is What You Get) にかわるものが研究されてきています. 最近,その方向をしめす 2 つの議論を目にしました. それは Donald Norman (ドナルド・ノーマン) と Jakob Nielsen (ヤコブ・ニールセン) によるものです.
将来のヒューマン・インタフェースのための研究のひとつのおおきなながれは,感性や感情をとりいれるという方向です. しかし,人間とコンピュータとのインタラクションの主要な要素が理性的・論理的なものであることは今後もかわらないでしょう. Norman と Nielsen の議論は,こういう,いわば従来のインタフェースの延長線上にあるインタフェースの方向に関するものです.
Norman は 「The next UI breakthrough: command lines」 のなかで,かつて GUI によってとってかわられたコマンドライン・インタフェースが復活すると予言しています. つまり,すでに Google などでは検索窓にみんなが検索語だけでなくコマンドをうちこんでいるではないかというわけです.
Nielsen は 「WYSIWYG よ,さようなら」 のなかで,Microsoft があたらしい Office において採用した 「結果指向 (Results-Oriented) のユーザ・インタフェース」 が WYSIWYG な GUI にかわるものだといっています.
これらの議論はいろいろな意味で,おおきなひらきがあります. しかし,これらの議論に共通しているのは,かぎられた選択肢しかないときには GUI が適しているが,いまやそれでは必要なだけの選択肢を提供することができないという主張です. GUI によって不慣れなひとにもコンピュータがつかえるようになりましたが,ひとびとがコンピュータになれてきたいま,もっと高度なインタフェースがもとめられているということなのでしょう.