Microsoft は Windows 上に MS P 明朝,MS P ゴシックなどの可変幅フォントをのせています. (このエントリーは MS P ゴシックで,したがって 「う」 などのひらがなは漢字よりせまい幅で表示されているはずです.) これらのフォントをつかうと,かぎられたスペースにうまく文字をつめることができ,かつ英字フォントとのバランスもよいようにおもうのですが,等幅を基本とする古典的な日本語の印刷法や入力法とはあいいれない部分があります. 私はこれらのフォントを愛用していますが,どうやってバランスをとっているのか,書いてみようとおもいます.
第 1 の問題として,“全角” のカンマやピリオドと通常の日本語文字とのバランスをどうとるかという問題があります. 読点,句点に関しても同様だとおもいますが,私自身は横書きのときは通常,カンマとピリオドをつかっているので,ここでは句読点には言及しません. 私は,日本語のときは “全角” のピリオドとカンマを使用し,ピリオドのあとには,通常,“半角” の空白をおいています. ここに空白をおかないと,印刷したとき,ピリオドのあとのスペースがあまりにせまくなるからです. それに対して,カンマのあとには基本的に空白はいれません. カンマのあとはせまくてもよいとかんがえているからです.
通常,日本語の入力においてはピリオドのあとにも空白はおきません. したがって,この方法は従来の固定ピッチのフォントをつかうときと,互換性がありません. フォントをかえると空白を挿入しなければならないというのはおかしなはなしですが,そうしないとたいていのばあいにスぺーシングがおかしくなってしまうので,やむをえません. 逆に,欧米においてはピリオドのあとにもカンマのあとにも空白をいれるので,カンマのあとには空白をいれないというのは,これにも反していることになります.
くぎり記号としてはカギ括弧もありますが,ひらき括弧のまえ,とじ括弧のあとには空白をいれます. 括弧類のあつかいはこれに準じます.
第 2 に,日本語文字と英数字とのバランスをどうやってとるかという問題があります. これに関しては,まず,“半角” の日本語文字は絶対につかいません. 濁点が独立の文字としてあつかわれるのは奇妙であり,文字幅のバランスもくずれるので,つかうべきでないとおもいます. また,“全角” の英数字も基本的につかいません. これも,文字幅のバランスがわるくなることがおおいからです. また,英数字には MS P 明朝や MS P ゴシックなどのフォントはつかわずに,Times, Arial などのフォントをつかっています. これは,欧米でつかっているフォントのほうがずっとよくできているからです.
日本語文字と英数字とのあいだには,通常,(“半角” の) 空白をいれます. そこに空白がないと,よみにくくなるとおもいます. Microsoft Word などをつかうと空白文字をいれなくてもスぺーシングしてくれますが,Web ブラウザなどはそうなっていないので,空白文字をいれるほうが,いつもおなじバランスにすることができます. Microsoft Word などにおいてはこれらの “半角” 空白はフォント・サイズをさげて,たとえば 12 ポイントで書いているときには 6 ポイントの空白をつかうなどしてスぺーシングを調整しますが,Web ブラウザなどではこのような調整は煩雑すぎるので,おなじサイズにしています.
括弧にはつねに “半角” 文字をつかい,ひらき括弧のまえととじ括弧のあとには “半角” の空白をいれます (ことばで書くとわかりにくいとおもいますが,この文章のなかにもその見本があるので,それをみれば,例外もふくめて理解できるでしょう). この括弧のあつかいは “全角” の括弧類と同様です.