「情報源の選択 ― “ひと” の選択を中心として」 において,バラバラの情報を検索することと情報源を検索することとの差にふれました. また,「空間内に配置した情報源からの選択とナビゲーション」 においても情報源の検索についてのべました. しかし,そこで気づかなかった非常に重要なちがいが情報検索と情報源 “検索” とのあいだにあることがわかりました.
そのちがいとは,情報検索が既存の情報しかさがせないのに対して,情報源検索はまだ存在しない情報までふくめて “検索” するということです. つまり,時刻 t に情報源 s をみつけたとすると,時刻 t 以降に s から生成される情報は時刻 t にはまだ存在しません. したがって,この “検索” によって未来に生成される情報までも検索したことになります. たとえば情報源が人間であれば,そのひとをみつけたときに,「このひとはわたしと趣味やかんがえかたが似ているから,これからもおもしろい (あるいは,やくにたつ) 情報をうみだすにちがいない」 とおもうかもしれません. これは,これからうみだされる情報に期待をもっているということです. このようなまだない情報の “検索” は情報が単独で存在するときにはありえません. したがって,Google でも iTune でも,このような “検索” はできません. 情報源をみつけるときに固有のものです.
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