NHK 教育テレビに 「視点・論点」 という番組があります. 有名人,一流の研究者をはじめ,さまざまなひとが毎回ひとりずつ登場して,話をします. 最近,本を出版して話題になったひとが登場することがおおいようです. ここ何年かは,この番組をハードディスク・レコーダーにとっておいてよくみるのですが,その印象はまず,「直接,あるいはほかの番組できくとおもしろい話をするひとが,とてもつまならい話をする番組」 ということです.
この番組がおもしろくないひとつの理由は,あきらかに,テレビの特性をいかしていないことです. テレビは動画をうつすものですから,テーマに関係する動画をつかえば効果的であることはあきらかです. しかし,この番組ではひとりの講師が 10 分間はなしつづけ,基本的にはその講師をずっとカメラでとりつづけます. もちろんその講師がどういうしぐさをし,どういう表情をするかということが,話をきくうえで重要であることはたしかです. しかし,それだけをずっとみせられていたのでは,やはりあまりおもしろくはないわけです.
しかし,おもしろくない理由はそれだけではありません. 直接話をきくとこもほとんど顔やしぐさをみているだけですし,ほかの番組でみるときでも同様の映像をみせられているだけのことがおおいわけです. それにもかかわらず,もっとおもしろいと感じることがおおいのです.
ヤリ玉にあげるわけではありませんが,数日前に録画したのが上野千鶴子の 「おひとりさまの老後」 というタイトルの話です. 上野の本を読めば,とても機知にとんだ,また毒をふくんだ文章を読むことができます. 視点・論点でもある程度はそれを感じることができました. たとえば,高齢者に対して子どもが 「いっしょにくらさない?」 ということばを 「悪魔のささやき」 と呼んでいるという表現がそれです. しかし,全体としてみれば非常に “まじめ” で,あまり,こころにつよくのこることばもありませんでした. NHK に毒をぬかれてしまった感じがします.
ほかのひとについても同様です. もともと “まじめ” なひとはこの番組にでてもそれほどかわりませんが,ふだんはもっとおもしろい話をしているひとが,つまらなくなってしまうのです. NHK も最近はそれほどカタい番組ばかりではなくなっているとおもうのですが,この番組はあいかわらずです. なんとかならないものでしょうか?
2007-11-18 追記:
NHK の 「解説委員室 視点・論点」 にはこの番組で解説者がしゃべったことばがすべて文字にされているようです.
おもしろいかどうかはともかくとして,やくにはたつのではないでしょうか.