最近,YouTube (ユーチューブ), ニコニコ動画などの “動画共有” サイトが話題になっています. これらのサイトをつかうことで,映像作品やそれに関するコメントをユーザ間で共有することができます. しかし,従来はいっしょにテレビをみながら時間を共有し会話していた家族は,テレビから “動画共有” サイトにうつることによって時間を共有する (同期的にみる) ことができなくなってしまいます.
こうして家でブログを書いているあいだは,ちかくに家族がいるにもかかわらず,かれらと時間を共有することはむずかしい. 文章を書くことは孤独な仕事だから,それもやむをえないでしょう. しかし,動画をみている時間くらいは家族で共有できてよさそうなものです. 実際,家族でテレビをみているときには,いまでも時間を共有することができます. 最近はひとりひとりちがう番組がみたくて,パソコンでテレビをみるということもあるでしょうが,すこし家族にあわせれば,いっしょにテレビをみることはできます.
しかし,YouTube やニコニコ動画になったらどうでしょう. これらは基本的にパソコン上でしかみることができません. テレビに Web がうつるようにすれば家族でみることは不可能ではありませんが,単純にそうしても,これまで何度も失敗してきた “Web TV” の失敗をふたたびくりかえすだけです. テレビは基本的には受動的にみるものであり,能動的にみるための YouTube やニコニコ動画のインタフェースをテレビにもってきても,なじみません. これらの “動画共有” のしくみをうまくテレビのインタフェースにのせる方法をくふうする必要があるとかんがえられます.
2007-10-4 追記:
ニコニコ動画の開発者がはじめから 「非同期コミュニケーション」 をはっきり意識していたことがわかりました.
「ニコニコ動画 関係者ブログ」 (お盆ですね というか、また障害発生、すみません (2007年08月13日 22:54)) にはつぎのように書いてあります.
非同期コミュニケーションはドワンゴがネットゲームが主力ビジネスだったころから意識しており、ネットにおいて同期型コミュニケーション(WEB サービスや多くのネットゲーム)に比較して非同期コミュニケーションの代表であるメールがまったく進化していないのはおかしい、というのが、メールポータルを目指してニワンゴがつくられた大きな理由のひとつです。つまり,おなじ動画を再生するものではあっても,テレビとはまったくちがうものをつくろうとしていたということです.