ニコニコ動画への登録者が 300 万人をこえ,ひとりあたりの利用時間や訪問回数は急激にふえて YouTube (ユーチューブ) をぬきさったということです. これは,しろうとがつくった動画はそのままではおもしろくないが,コメントをつけることでおもしろくなるということだとおもいます. ニコニコ動画にかかわった ひろゆき のねらいもそこにあったようです. ひろゆき は 「テレビ画面に対してリアルタイムに突っ込み合える環境ができれば面白い」 ともいっていますが,テレビはもともともっと洗練されているので,コメントがつけられるようにしてもニコニコ動画ほど人気がでないのではないかともおもえます.
ニコニコ動画のひとりあたりの利用時間や訪問回数は下図のようになっているそうです (「ニコニコ動画」 が急成長 300 万人を突破 (朝日),07 年 8 月のネット利用動向,「ニコニコ動画」 の急進が目立つ (日経ビジネス オンライン) など). YouTube を急速にぬいていることがわかります. なぜこのようなことがおこるのでしょうか?
ニコニコ動画の利用時間や訪問回数 (ネットレイティングスによる)
私は YouTube をみて 「かったるい」 とおもいました (「YouTube をみて感じること」 参照) が,これは私だけの感想ではないのではないでしょうか? ニコニコ動画が YouTube より人気があるのは,しろうとがつくった動画はそのままではおもしろくないが,加工することでおもしろくなるということだとおもいます. しろうとに動画をいじらせるとなかなかうまくいかない,それが YouTube のよわさであるわけですが,したがって 「加工する」 といっても,しろうとがまた動画そのものをいじるのはうまくない. 画面上にコメントをつけるだけなら比較的かんたんにできて効果的だということではないでしょうか? ひろゆき のねらいもそこにあったようです. 「「面白くないものが面白くなる」 ひろゆき 氏が語る 「ニコニコ動画」 の価値 (1/2)」 のなかで ひろゆき は 「面白くないものを面白いものに変えられるのが [ニコニコ動画の] サービスの価値かな」 といっています. また,もともと洗練されていれば,そこにコメントをつけて 「よごす」 のはためらわれるのではないでしょうか?
ひろゆき はまた,「「面白くないものが面白くなる」 ひろゆき 氏が語る 「ニコニコ動画」 の価値 (2/2)」 のなかで 「テレビ画面に対してリアルタイムに突っ込み合える環境ができれば面白い」 ともいっています. しかし,テレビのばあいはすこし事情がちがうようにおもいます. テレビは YouTube とくらべるともともともっと洗練されているので,加工してもあまりおもしろくならないでしょう. むしろ,テレビ局のひとがきらうように,「画面がよごされ」 て,かえっておもしろさをそこなう危険があります. とすると,ニコニコ動画ほど人気がでないのではないかともおもえます. もっとも,番組の種類にもよるでしょうが… 読者のみなさんはテレビにコメントしたいとおもいますか?
2007-10-17 追記
五味 一男 は 「ヒット率 99% の超理論」 (p. 147) につぎのように書いています.
「ひと月分の番組をすべて録画できるハードディスクレコーダー付きのテレビ」 というアイデアがあったとします. [中略] このテレビは 「You Tube」 と同じような使い方ができそうです. 自分が作業をしなくても,いつのまにか映像がアーカイブ化され,観たい映像を検索することができるのです. ご存じのとおり,You Tube 波著作権問題など,さまざまなリスクをはらんでいますが,このテレビは,そのリスクを回避できるものと言えるでしょう.」