著者は元毎日新聞記者であり,現在もフリー・ジャーナリストである. その経験をいかして,記事や提案書などを書くためのインターネットからの情報収集の方法を書いている. その方法はまず,直観的な世界把握 (クオリア) をもとに,必要な情報要素と取材先を縦横にならべたマトリックスをえがいて全体像を把握する. そして,4 種類のインターネット情報源,つまり新聞や雑誌の (有料) 記事データベース,一般のウェブサイト,個人や企業のブログ,2 ちゃんねるなどのネット掲示板をこの順に調査していく. インターネットをつかった調査は拡散的になりがちなので,「ニューロン型」 という方法をすすめている. これは,拡散的な調査法と直線的な調査法とをくみあわせた方法である. そして,調査途中でのいきづまりをセレンディピティ (偶然の出会い) によって克服することについても記述している.
インターネットで情報収集しているひとは,ある程度はここに書かれたのとちかい方法で情報収集しているだろうが,かならずしも著者ほど確立された方法にしたがっているわけではないだろう. おおくのひとにとって,ここからまなべる点はすくなくないものとおもう.
評価: ★★★★☆
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キーワード: マトリクス