通信にも放送にもリアルタイムのものがありますが,通信と放送とではリアルタイムといってもその意味がちがいます. それらをあわせもつメディアをつくることが通信と放送の融合ということなのではないでしょうか.
通信にとってリアルタイムとは,双方向性のことです. 動画配信などについてもリアルタイムということばがつかわれますが,そのような単方向のメディアに関しては数 100 ms 程度のおくれがあっても問題にはなりません. それに対して電話や会議システムのような双方向のメディアにおいて会話が成立するためには,遅延が 150 ms 程度におさまることがのぞましいといわれています. したがって,双方向性とはすなわちリアルタイム性のことだということになります.
これに対して放送のばあいは,リアルタイムとはライブのことです. あらかじめ録画・録音したのでなく,いま放送局でやっている,あるいはいまどこからか中継しているということがリアルタイムということです.
リアルタイムでない通信とリアルタイムでない放送とをくみあわせても,一応は通信と放送が融合されたことにはなるでしょうが,あまりおもしろみはありません. 上記のようなことなるリアルタイム・メディアをくみあわせることが真の放送通信融合につながるのではないでしょうか.
キーワード: 放送通信融合, 通信放送融合, 実時間性, リアルタイム性