「駅の没個性 ― 中央線のばあい」 という項目で中央線の駅に個性がないことを書きました. 地下鉄丸ノ内線に関してはかつてはもっと個性があったとおもうのですが,最近とくに没個性化しているようにおもいます.
最近つくられた地下鉄の駅はしろっぽいものがおおいようにおもいます. 中野坂上は最近改修されましたが,それによって,しろっぽくなりました (左の写真は 「銀座線の助っ人たち」 から引用). また,東京地下鉄ではワンマン運転などのために駅と電車とのあいだに壁がつくられ,電車のドアと連動するドアがつくられています. いくつかのタイプがありますが,丸ノ内線に関してはおなじタイプのものは色もおなじになっているようであり,これも没個性化をすすめています. とはいえ,中野坂上に関してはもともと色においてはそれほど個性的だったわけではありません.
もとの中野坂上駅は天井のたかさで他に例をみないつくりであり,それが最大の特徴でした (右の写真は 「地上の地下鉄」 のものを部分加工して引用). 何メートルあったのか知りませんが,5 m 以上はありました. 駅につづくトンネルは通常の構造なので,トンネルのかたちがよくわかりました. しかし,空調設備の導入にともなって,天井はひくくなってしまいました. もうすこし天井をたかくつくることはできたのではないかとおもうのですが,おそらくコストを削減するために他の駅とあまりかわらないたかさになってしまったのだとおもわれます. こうして,ひとつの顕著な特徴がうしなわれてしまいました.
もうひとつの特徴は 2 つのプラットフォームがならんでいることです. 中央に方南町行きの電車がとまりますが,とまっているあいだはこの電車をとおりぬけることによって 2 つのホームのあいだをいききすることができます. この特徴はいまもうしなわれていません. 電車が 3 台以上ならぶ駅はほかにもありますが,電車が通路になる構造はほかにないのではないでしょうか. しかし,この特徴は視覚的につよくうったえるものではありません. 視覚的には色や天井高などのほうが効果的なので,それがうしなわれたということは,おりるべき駅についたのかどうかを判断しづらくなったということだとおもいます.