山一証券以来,不正をおこなった企業が政府機関の処分をうけて倒産・破産する事件がつづいています. もうだいぶまえのことりなりますが,ライブドアと村上ファンドはだれの記憶にものこっているでしょう. 最近ではコムスンや NOVA (ノヴァ,ノバ) があります. これらの企業のなかには行政処分の内容によっては事業撤退をまぬがれたケースもあるのではないでしょうか. 処分によってその企業だけでなく顧客までおおきな影響をうけていますが,顧客である国民までまきこむ,きびしすぎる処分がおこなわれているようにおもわれてなりません.
山一証券のばあいはそれまでの護送船団方式をくずす,はじめてのケースであり,勇気ある方針だったといえるのかもしれません. しかし,それだけになおさら,みせしめのためにつぶされたという印象をまぬがれません. 山一の破産のあと,(それだけが原因ではもちろんないのですが) せっかく回復しようとしていた日本経済がふたたび奈落の底におとしこまれたことをわすれるわけにはいきません.
ライブドアの株価つり上げの手法が極端だったことは否定できませんが,ホリエモンは執行猶予もつかないほどわるいことをしたのでしょうか? しかも,検察がのりだしたことがライブドアの株価を暴落させる原因になり,一般の投資家の損失を拡大したとかんがえられます (2008-9-27 追記). 村上ファンドの 村上 世彰 とともに,みせしめのために逮捕されたのだとおもわれます.
コムスンは介護保険制度の成立をうけて,介護をビジネスとして成立させるという野心をもって設立された会社です. 他社にくらべて積極的に 24 時間介護をはじめとする介護をうけるひとに便宜をはかったサービスをおこなってきました. それゆえになおさら利益をあげることが困難になり,不正につながったのだとかんがえられます. 不正に対して処分が必要であることはもちろんですが,事業の継続を不可能にするような処分は妥当なものといえるでしょうか? 事業は他社に譲渡されつつありますが,サービスの低下はまぬがれないといわれています. この処分はコムスンの顧客である国民に不当な不利益をあたえているとはいえないでしょうか? コムスンへの処分に関しては 「極東ブログ: コムスン不正問題メモ」 などでも疑問が呈されています.
最後に NOVA についてです. これも上記のいくつかの会社と同様に,経営がくるしくなって,不実告知,書面記載不備,誇大広告などの不正がおこなわれるようになっていたということです. そのために行政処分がおこなわれ,その結果さらに経営がくるしくなって倒産においこまれました. 不実告知,書面記載不備,誇大広告などによって受講者が不利益をうけていたことはたしかですが,倒産による不利益とどちらがおおきいのでしょうか? すでに講義がおこなわれなくなったり,講師に賃金がしはらわれなかったりということがおこってきています. 再建者があらわれればよいのですが,あらわれずに破産ということになれば,被害はさらに拡大するでしょう. もっと被害をおさえられる方法があったのではないでしょうか?
追記 (2008-9-23):
コムスンはグッドウィル・グループの企業のひとつでしたが,その後,非正規雇用に関する不正をきっかけとして,グッドウィルもつぶされてしまいました.
これもまた,みせしめによる倒産だといえるでしょう.
グッドウィル・グループは時代の先端をはしっていた企業であり,それゆえに問題もいろいろかかえていたのだとおもいます.
グループ 2 社をつぶされるという,ここまできびしいあつかいをうけなければならなかったのだろうかと疑問を感じます.