みじかい本ではあるが,著者の日本経済・社会についての理解から示唆される点がおおい. 1990~2005 年の分析としては,たとえば 「基本的な景気対策,たとえば公共投資によって一部の圧力団体と政治家の懐がさらに豊かになり,改革への抵抗がますます強くなった」 こと,「不満や疎外感は存在するが,多くのヨーロッパ諸国やアメリカなら起こったはずの秩序崩壊や暴力沙汰は見られなかった」 ことなどが指摘されている. また,A 級戦犯の合祀が 「欧州の人間にとっては,これはアドルフ・ヒトラーや他のナチ高官を祀り上げるのに等しく」 ということばは,そこに誤解があるかどうかはともかくとして,日本人が理解すべき点だとおもわれる. また,靖国神社のありかたについても読むべき内容がある.
評価: ★★★★☆
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