アンデルセンの 「マッチ売りの少女」 において,少女は売れないにもかかわらず,マッチを売りつづけました. さむいなかで売りつづけた少女は,やがて凍死してしまいます. 少女は天国に召されてすくわれたことになっていますが,やはり死んだということは敗北したということだとおもいます. どうすればこのような事態をふせぐことができたのでしょうか?
いくら売ろうとしても売れないものを売りつづけたことが敗北のひとつの原因であることはあきらかです. 市場経済のもとでは商品が売れなければ売りかたをかえるなり,べつの商品をあつかうようにする必要があります. 少女には自分で商品をかえることはできなかったでしょうが,彼女の家族ならばそれができたはずです. また,売りかたについては彼女自身,くふうする余地があったかもしれませんし,家族をはじめ,アドバイスできる立場にあったひとはいたはずです. しかし,だれも,どちらの方法もとらないままでした.
また,いくらおさないとはいえ,商売をしている以上はその基本をしらなければなりません. 商売の基本は顧客満足 (customer satisfaction) だとおもいます. 少女ははたして,マッチを買う顧客に満足してもらえるような売りかたをしていたでしょうか? 売る側の都合をおしつけても,売れるわけはありません.
こうしたくふうをしたも,はたして少女が現世的にすくわれたかどうかはわかりませんが,少女自身,あるいは周囲のひとが,もっと努力する必要があったのではないかとおもえます.