電気製品でも PC ソフトウェアでも,なにかの原因でまちがった設定が入力されてしまったのに,どうすればもとにもどせるのかがわからなくて,四苦八苦することがあります. ここでは私が経験した 2 つの例をあげてみます.
携帯電話のばあい
単純な設定ではこのような問題はおこりにくい. しかし,最近の情報機器は複雑化しているため,問題がおこりやすい. そういう情報機器の典型例が携帯電話です.
私の母は東芝 (au) の A5501T (右の写真) をつかっていますが,ときどきその設定をクリアしてほしいと私にいってきます. 先日は毎日ある時刻になるとアラームが鳴るので,とめてほしいといってきました.
携帯電話の機能のうちのおおくは終了 (hang) キーをおすことによって初期化されます. 意図しない画面を表示させてしまったときなどは,終了キーをおせば初期画面にもどります. そのため,この複雑な携帯電話でも母がつかうのに問題はないものとかんがえて,これをえらびました.
ところが,終了キーをおしてももとにはもどらない設定もいろいろあります. アラームはそのひとつです. この携帯電話には 10 個以上の独立なアラームが設定できるようになっています (こんな機能をだれがつかうのでしょうか?). 母がたすけをもとめてきたとき,毎日特定の時刻に鳴るもののほかに,週に 1 回鳴るものと,2 個のアラームが設定されていました. 当然,両方とも解除しました. このばあい,誤設定を修正するにはある程度の知識が必要であり,それほどかんたんだとはいえません. こういう事態をさけるひとつの方法は,ツーカー (TU-KA) が開発し au にひきつがれている 簡単ケータイ S のような製品をえらぶことかもしれません. とはいっても,この種の製品は機能をおさえて操作をかんたんにしているだけであって,(マニュアルはダウンロードできないのでカタログをみただけですが) 誤設定の修正というところにまで気をくばっているようにはみえません.
かな漢字変換のばあい
私はかな漢字変換の IME として VJE をつかっています (「Macintosh IIX の時代からつかいつづけている VJE (かな漢字変換)」 参照). 私は句読点としてピリオドとカンマをつかっていますが,ときどき,なにかまちがったキーをいれたかなにかのために,ピリオドやカンマをいれたときに半角のほうが優先されるようになります. すると,全角にするにはそのピリオドやカンマだけを選択して変換キーをおしてやらなければならなくなります.
この状態になってしまったとき,当然,もとにもどしたいのですが,どうやったらうまくもどせるのかがいまだにわかりません. もしかすると裏技をつかわないかぎりなおせないかもしれない (だとするとバグということになる) のですが,これはちょうど電気製品のリモコンでいえば,ふたの内側にかくされたボタンをみつけるようなものです. しかも,もっと複雑です. (ふたの内側のボタンによる設定は,ふたをあけなければ変更されません. しかし,VJE の句読点の設定は 「ふたをあける」 のに相当する操作をしなくても,かわってしまいます.)
おわりに
こういう事態に対処するひとつの方法は 「リセット」 です. 通信機器などにはよく出荷時設定にもどすリセット機能がついていますが,それを使用することによって,わけのわからない設定を修正することができます. しかし,上記の 2 例においては,どちらもこのようなリセット機能はないようにみえます. 他にも方法はあるでしょうが,とりあえず,ここでとめておきます.
2008-3-4 追記:
携帯電話のような,とじたインタフェースにおいては,製造者が誤設定にきちんと対応しないかぎりは事態を改善することは困難です.
しかし,API のようなオープン・インタフェースをもつシステムにおいては,誤設定しにくく修正しやすい設定インタフェースを後から追加することが可能です.
このインタフェースはリセット機能とはちがって,すべての設定を一律にもとにもどすのではなく,ある程度は自由に設定できるようにします.
必要な設定はのこしつつ,必要以上にふくれあがった設定はおさえこんでしまうわけです.
これは,上記の 「ふたつきリモコン」 の例でいえば,ふたをしめているかぎりは,ふたのなかの設定はリセットされている (既定の状態になる) ということです
(ふたがしまっているのに,ふたの内側の設定がいきていると,混乱するわけです).
おおくの PC 上のソフトウェアに関しては,この方法で対処できるのではないでしょうか?
かな漢字変換のばあいはオープンなインタフェースは利用できないでしょうが,裏技をつかえばできるかもしれません.