世の中には物理が得意なひとと不得意なひとがいます. 私も相対性理論くらいになるとよくわからなくなってきますが,ニュートン力学程度なら物理的直観がはたらくので,定性的なことならかんがえなくても,即座にわかることがおおいのです. 物理的直観をみがくことが重要だとおもいます.
ずいぶんむかしにテレビのクイズ番組でよく物理の問題がとりあげられていました. たとえば,雨がふっているとき,はしったほうがぬれないのか,あるいたほうがぬれないのか,というような問題です. こういう物理の問題は物理的直観がみがかれていれば,じっくりかんがえなくても,容易にこたえることができます.
物理的な直観は,たぶん紙のうえでたくさん問題をといても,それだけではみがかれないのだろうとおもいます. 実際に (ガリレオがピサの斜塔からものをおとしてみたように) しかるべき環境をつくって実験したり,日常生活のなかでいろいろためしてみたりするうちに,身についてくるものだとおもいます. かならずしも特別の環境をつくらなくても,日常生活のなかで注意をはらっていれば,そういう実験の機会はいろいろあるはずです. それをいかせるかどうかで差がついてくるようにおもえます.
クイズ番組をとっても,うえに書いたように以前は NHK などでもけっこう物理の問題がとりあげられたりしていました. ところが最近では,たとえば 「ためしてガッテン」 のような番組では食べ物など,物理であつかう問題よりずっと複雑な問題がおおくとりあげられているようにおもいます. 複雑な問題からはなかなか一般的な知識がえられません. 個別的な知識はふえても,応用がききません. もっと物理的直観がみがかれるような問題をとりあげてほしいとおもいます.
追記: 写真は NHK ためしてガッテンから借用し,部分的に加工して 2008 年 7 月 6 日に掲載しました.