池田信夫は日本のテレビドラマやドキュメンタリーは情報がすくなすぎる,ドラマはもっとテンポがはやくなければならないということを書いています. これには首をかしげる点があります. しかし,日本のニュースをかんがえてみると,私自身,とくにニュース番組において 「情報がすくない」 ことを感じてきました.
池田信夫は 「ネットがテレビを飲み込む日」 (洋泉社) という本のなかでつぎのように書いています.
「NHK の番組は欧米にはまったく輸出できない. ドラマもドキュメンタリをも,情報量が少なく,テンポが遅いためである.」 (p. 139)
「「24」 とか 「ER」 を見ると,ものすごいテンポで場面が転換して,台詞の分量が日本語の倍ぐらいある. [中略] 本当のグローバルなマーケットに売るには日本のドラマ,ドキュメンタリーでは情報量が少な過ぎます.」
日本のドラマ,たとえば 「おしん」 などがアジアで人気があることをかんがえれば,また欧米のドラマがみな ER のように頻繁に場面がきりかわるわけではないことをかんがえれば,池田の意見には疑問があります. しかし,ニュースに関しては,私自身,日本のテレビニュースは情報がすくないことをしばしば感じてきました.
私がもっともつよく感じているのはつぎの 2 点です.
- 災害時など,NHK (にかぎりませんが) のニュースをつけると,おなじことをひたすらくりかえしてしゃべっています. 数分間きくと,ほぼその件に関しては現状で知りうるほとんどのことがわかりますが,そのままテレビをつけていると,あとはそれをくりかえし,くりかえし,きくことになります. 重要な情報をくりかえしつたえることは日本の放送にかぎったことではないでしょうが,CNN などではもうすこし,くふうがあるようにおもえます. こういうとき NHK をみていると,「もういいかげんにしてくれ」 といいたくなります.
- NHK のニュースもそういうわけでテンポはおそいのですが,これがニュースステーションなどではもっとおそかった (報道ステーションはみていないので,どうだか知りませんが…). ただし,これはおなじことをくりかえししゃべるわけではなくて,解説をつけたり,いろいろ角度をかえたりしているので,あきさせないくふうはあります. しかし,ニュースの情報という観点だけでみれば,密度がひくいことにかわりはありません.
最近,私はニュースなどをみるときは HDR (ハードディスク・レコーダ) に録画して,はやまわしでみることにしていますが,それでも時間は 2/3 にしかなりません. NHK にはもっとよい技術があるということなので,そういうものを HDR にとりこんで,もっと短時間で情報がとれるようになるとよいとおもっています.