シャープをはじめ,日本ではいろいろな会社が家庭用の太陽電池パネルを生産しています. これらは温暖化防止に効果があり,かつ 20 年つかうともとがとれるといわれています. しかし,これはほんとうでしょうか? ちょっと検証してみました.
現在の太陽電池パネルの主流は多結晶シリコンを使用したものですが,その耐用年数は 20 年といわれています. しかし,太陽電池に付属する設備の耐用年数はそれよりみじかくて,15 年くらいがふつうなようです. そこで,ここでは 15 年でかんがえることにします. 仮に最大発電量が 1 枚 200 W 弱のパネルを 30 枚設置したとします. 設置費用はたとえば 300 万円くらいかかります (もっとたかくつくこともあります). これを借金でまかなったとして,住宅金融支援機構 (かつての住宅金融公庫) から借りると,いまの金利は年 2.99% であり,15 年で返済するとひと月に 2.1 万円,年間で 25.2 万円,返済しなければなりません. 30 枚のパネルによる発電量は,設置場所や方向によってもかわりますが,比較的よい条件で設置できたとして,年間の平均発電量は 4000 kWh くらい,金額にして 80000 円程度です. ひどい赤字であることがわかります.
このような計算をしたのは,太陽電池を買うことに興味があったからにほかなりませんが,買わないことにきめました. 太陽電池は温暖化防止に効果があるといわれていますが,これだけコストがかかるのは,実はどこかで CO2 をだしているのではないかと,うたがってしまいます.
黒字にするためにはどうすればよいでしょうか? システムの価格が工事費もふくめて半分以下にならなければなりません. シャープはいま,太陽電池パネルの価格を半分以下にさげようとしているそうです (たとえば 「シャープ、太陽電池コスト半減」) が,パネルの価格が半分になっても,工事費までいれると半分にはさがらないでしょう. それではまだ赤字です. 黒字にするためには,大幅な工事費補填をするとか売電価格を大幅にひきあげるというような政策が必要だとかんがえられます. ドイツなどではこういう政策がとられているようです. しかし,そもそもほんとうに温暖化に効果があるのかどうかも,再度,検証する必要があるのではないかとおもえます.
計算の参考にしたサイト: