「税金のたかいガソリンを大量消費しても,なぜ高速ドライブはやすいのか!?」 という項目でスパリゾート・ハワイアンズへの旅行について書きました. それにしたがってくるまでスパリゾート・ハワイアンズにいってきました. ここには 「フラ・ミュージアム」 があり,スパリゾート・ハワイアンズの歴史もつづられています. それによるとスパリゾート・ハワイアンズのもとのなまえである 「常磐ハワイアン・センター」 がつくられたのは 1966 年であり,他ではみることのできないショーをみせる,つまりオンリーワン (only one) をめざしたということです. 最近ではオンリーワンでなければダメだということはよくいわれますが,1960 年代にそれをめざしたというのは画期的なことであり,それが,おおくのリゾート施設が倒産するなかでもスパリゾート・ハワイアンズがいきのびてくることができた理由なのではないかとおもいました.
常磐ハワイアン・センターのつよみはなによりもフラと温泉であり,それにプールをくわえて 「日本初のリゾート施設,日本初のテーマパーク」 としてオープンしたということです (写真は 「まるわかりハワイアンズガイド ヒストリー特集」 から借用しました).
「ヒストリー特集」 にも書いてありますし,映画 「フラガール」 をみたひとは先刻承知なのでしょうが,「松竹や宝塚のショーを真似ようと思うな.
少女歌劇やレビューを見たい人は東京か神戸に行けばいい。ハワイアンセンターは,ここでしか見られないショーを上演する」
ということばが,常磐ハワイアン・センターの “精神” だということです.
その精神にもとづいて本格的なフラをめざし,まずフラダンス学校 (常磐音楽舞踊学院) が設立されました.
当時の日本は 「アメリカにおいつき,おいこせ」 ということばによって象徴されるように,他者のまねをすることによって,かせぐことができた時代です.
そのなかで,“精神” というより経営方針としてオンリーワンをめざすことをきめたのは,常盤炭鉱が危機的な状態にあったからだとはいえ,画期的なことです.
スパリゾート・ハワイアンズのサイトにはなまえが書かれていませんが,この方針をしめした経営者は炭鉱の当時の副社長 中村 豊 だったということです (「起業家列伝 「特別号」 常磐ハワイアンセンター物語」.
写真もここから借用しました.
なお,フラ・ミュージアムには 中村 のなまえが書かれています.
また,行ったときは気づきませんでしたが,ホテルのまえに中村の胸像があるということです.)
現在はオンリーワンでなければなかなかいきのこれない時代になりました.
現在でも温泉はつよみだとはいえ,温泉つきのリゾート施設は日本中にいくらでもあります.
そのなかでスパリゾート・ハワイアンズがいこのこっているのはこの経営方針があったからなのでしょう.
(ついでに書くと,炭鉱にとって温泉は経営を圧迫するじゃまものだったということですが,これを逆に利用しようという 「発想の転換」 をしたわけです.)
とはいっても,いきのこっていくためには,いかにカネをかけずに客をたのしませるかということが重要なのでしょう. フラだけでなくフラガールがポリネシアのさまざまなおどりや本格的なマジック (「フラの魔法」) までこなし,またサモアの火の踊りをとりいれています. 火の踊りでは数秒間,足のうえに火をのせたり,舌のうえで火をもやしたり,といったこともしていました.
「スプリングバーク」,「スパガーデン パレオ」,「江戸情話 与市」 など,あらたな施設をつぎつぎにつくってきていますが,常磐ハワイアンセンター設立当初からのドームを改修しながら現在もまだつかうなど,節約できるところは節約していることがわかります (写真は 「トロピカルムードたっぷりのワンダードーム」 から借用しました).
しかし,今後もいきのこっていくためには課題もあるようにおもえました.
ここに妻子だけでなく母もつれていきましたが,足腰がよわくなった高齢者にはいささかきびしい施設であるようでした.
エレベータも何台かはありますが,どうしても階段をつかわなければならないところがあります.
入口がプールのそばにあり,温泉からははなれていることも,老人にとってはきびしいようにおもいます.
今後,老齢人口がふえるなかで,温泉施設にひとをよぶためには,上下の移動のためにはどこでもエレベータがつかえて,横の移動のためには,のりものやうごく歩道が必要であるようにおもいました.
スパリゾート・ハワイアンズは 「テーマパーク」 と称していますが,ディズニーランドのようなテーマパークではのりものが欠かせません.
ディズニーワールドにはホテルと各テーマパークをむすぶのりものがあったことをおもいだします.
これは,それほどおおきな投資をせずに実現できるのではないでしょうか?
もうひとつ不満な点は,たべものでした. ここにはいくつかエスニック風のたべものがありますが,食べてみるとどれも日本食でしかありません. また,母にはサラダがないことが不満なようでした. たべものにも,もうすこしくふうが必要なようです. (最後の写真は 「ハワイアンズ,優美なショー & ステージ」 から借用しました)
2008-5-4 追記:
今回は節約のためスパリゾート・ハワイアンズの関連ホテルではなく,ちかくの旅館にとまりました.
湯本やちかくの宿泊施設にとまるとスパリゾート・ハワイアンズの割引券をもらうことができます.
2 日間つかえて 1 日分の入場券よりやすいというものです.
ホテル・ハワイアンズなどの経営を圧迫しそうなこのような割引券を発行しているのも,いまでもひきつがれているという 中村 豊 の 「地域との共生」 という方針からきているのでしょう.
関連サイト
- 起業家列伝 「特別号」 常磐ハワイアンセンター物語 (ENTRE STAGE)
- 他者に学ぶ CSR 第 1 回: 常磐興産株式会社 (富士ゼロックス)
- スパリゾートハワイアンズ ポリネシアンショー
- 常磐ハワイアンセンターが生まれるまで
- スパリゾートハワイアンズ: 写真の数がすごい!
- Wikipedia スパリゾートハワイアンズ