京都議定書の基準となっている 1990 以降の日本の CO2 排出量のグラフをみると,1995 年に急増し,その後は増加する傾向にはあるが減少している年もあることがわかります. 1995 年に急増した理由をしらべてみました.
「温室効果ガスインベントリオフィス」 のデータをみると,「日本国温室効果ガスインベントリ報告書 (NIR)」 のグラフではわかりにくいのですが,右図のようにかきなおしてみると,1994 年に急増していることがよくわかります. とくにめだった傾向だとはいえないのかもしれませんが,気になったのですこし,しらべてみました.
1994 年に急増していることを指摘している記述はほとんどみつかりませんでした. しかし,「CASA 地球温暖化の国際交渉」 には,つぎのように書かれています.
エネルギー部門のなかでも運輸部門は急増しており,04 年には 90 年比で 23.9% 増加している。運輸部門のなかでも国際運輸 (航空と海運) の増加が著しく,国際航空からの排出量は 2004 年には 90 年比で 52.0% も増加している.
そこで日本経済団体連合会のパンフレットをみると,1994 年に運輸部門と産業部門の排出量がともに大幅に増加していることがわかります. 問題のグラフだけをここに引用させてもらいました. 運輸部門だけなら 1999 年などにも大幅に増加していますが,1994 年には両者がともにおおきなのびをしめしたので,総排出量がおおきく増加したのだとかんがえられます.
Web 上でしらべた結果ここまではわかったのですが,1994 年に運輸部門と産業部門の排出量がともに大幅にのびた理由は,景気回復と関係があるのだとおもいますが,まだよくわかっていません.
コメント (3)
私も、1994年に二酸化炭素が増加した理由を探っておりました。
この年は、バブル崩壊による不況の真っ只中で、CO2排出量が下がるほうが
自然と考えられます。
私も調べきったわけではないのですが、
この頃何があったかというと、「物流改革」があり、当時の運輸省主導で
サプライチェーンの本格導入がされた年でもありました。
倉庫を減らし、こまめに生産/配送することで在庫量を減らします。
不況で、企業はコスト削減につながることであればどんなことでも手を
つけていましたので、SCMは当時の企業に大歓迎されておりました。
ただ、これは、たとえばコンビニへの配送を、週に一度から毎日に切り替えて
いるわけなので、当然ながらトラックの運転回数が増えます。トラックの荷台を
倉庫の代わりに使用し、コストを二酸化炭素の排出に振り替えただけという見方も
できます。
環境問題が大きく取りざたされている現在になって、SCMは失敗だったとお上は
言えないわけです。一番排出量の多い運輸業界が環境問題に対して及び腰に
見えるのは、このような事情がありそうです。
本気でCO2削減をするのならば、SCMを廃止するか、さもなくば
運輸企業のトラックをすべてハイブリッドか電気に変える必要がありそうです。
投稿者: ひら | 2009年05月12日 00:37
日時: 2009-05-12 00:37
ああ
投稿者: ひら | 2009年05月12日 00:38
日時: 2009-05-12 00:38
ひら さん,
詳細なコメント,どうもありがとうございました. 1994 年ごろに SCM が導入されてトラックの走行距離がのびたことでどれだけ CO2 排出がふえたのか,よくわかりませんが,それを電気自動車などにかえていくことは十分可能なようにおもいます. しかし,そのためには電気自動車への買いかえコストをさげるような政策が必要でしょうね.
投稿者: 金田 | 2009年05月16日 12:10
日時: 2009-05-16 12:10