IEEE, ACM などの学会のデジタル・ライブラリには,最近のコンファレンスの論文でも紙からスキャンした,よみにくいものがしばしばみられます. デジタル・ライブラリにアクセスするには最低でも年間 100 ドル程度をはらう必要がありますが,そうやってアクセスした論文はよみにくいのに,Web 上にはしばしばそのクリアな原稿がただでのせられています. 私自身も自分の論文原稿を PDF で Web においています. もちろん,学会の論文をひととおりアクセスするにはデジタル・ライブラリに登録することが必要なのですが,よみにくい論文をみせられると,むだなカネをはらっているような気にもなってきます.
現在ではおおくの学会がデジタル・ライブラリ (D-Lib, 電子図書館) をもっています. そこにはジャーナルやコンファレンスの論文があつめられています. 最近はさすがに著者が作成した PDF ファイルなどがほぼそのままおさめられることがおおいのですが,数年前にはまだ著者が提出した紙の原稿をスキャナーでとりこんだファイルがおさめられることもありました. また,紙でしかのこっていない,ふるいコンファレンスの論文をデジタル・ライブラリにとりこむときは,スキャンするのがほぼ唯一の方法です.
ところが,スキャンした原稿は文字がつぶれてよみにくいうえ,写真などはまっくろになっていて,まったくみえないことすらあります. これでは,論文の内容を理解するのに重大な支障があります. スキャンするときにもうすこし品質をよくすることはできるはずなのですが…
数年前ならば著者にクリアな原稿を提出してもらうこともできたはずです. また,ふるいコンファレンスでも,著者はクリアな原稿をもっている場合があります. そうした原稿はしばしば,著者が所属する大学などのサイトにのせられています. それらのファイルは無料でアクセスすることができます. 無料のファイルのほうが学会が提供している有料のファイルより品質がよいというわけです. これはいささか釈然としません. 対策をもとめるほどのことでもないのですが…