建築に関するさまざまな対立的なモデルが紹介されている. ロバート・ヴェンチューリ の 「あひる」 と 「装飾された部屋」,青木 淳 の 「原っぱ」 と 「遊園地」,モデルとはいえないが 「斜線」 と 「スロープ」,クロード・レヴィ゠ストロース の 「近代的な科学者」 と 「器用人 (ブリコラージュのひと)」 ,エリック・レイモンド の 「伽藍」 と 「バザール」,男性原理と女性原理,白井 晟一 の 「弥生的なもの」 と 「縄文的なもの」,ブルーノ・タウト の 「伊勢・桂」 と 「日光東照宮」 あるいは 「天皇的」 と 「将軍的」,伊藤 忠太 と 岸田 日出刀 の 「神社」 と 「仏教」,丹下 健三 などにおける 「大衆的」 と 「貴族的」 等々. 本のなかばまでひろいあげてきたが,書ききれないほどである.
著者はこうしたさまざまな対立概念をたてて建築を分節していく. とても,めざましい. しかし,あまりに密度がたかすぎて,軽いきもちで新書をよみはじめた読者にはなかなかついていけず,散漫な印象をあたえてしまうともいえるだろう.
評価: ★★★★☆
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