「地球は人類が排出する CO2 によって温暖化している」 という説が主流になっていることはまちがいないでしょう. しかし,いまでもそれはウソだと主張するひと,そう主張する本は多数あります. では,もしその可能性がひくいとしたら,ほうっておけばよいのでしょうか? 私はそうではないとおもいます. 温暖化によるリスクは非常にたかい. とすれば,その可能性がひくいとしても,またおもな原因が人類が排出する CO2 でないとしても,十分な対策をとっておくべきでしょう.
温暖化そのものをうたがうひともすくなくありません. たとえば,東工大の 丸山 茂徳 は (私は読んでいませんが) 「「地球温暖化」論に騙されるな!」 という本のなかで 「実は CO2 は原因ではなく,地球はむしろ寒冷化に向かっている」 (Amazon.co.jp の内容紹介) と主張しているそうです.
温暖化はおこるか,深刻な問題をおこさないと主張するひともいます.
温暖化はおこるが,そのおもな原因は太陽や地球の活動からくると主張するひともいます. 米陸軍研究局の Bruce West 博士は,「地球表面の平均温度の変化に直接関係しているのは [中略] 短期的な太陽放射の統計的変動と,より長期的な太陽の活動周期だ」と主張しているということです (「WiredVision: 米陸軍の主任科学者:地球温暖化の原因は「太陽」」 など). また,デニス・T・エイヴァリー, S・フレッド・シンガー らは 「地球温暖化は止まらない」 という本において 「地球の気候には 1500 年の周期があって,現在の温暖化はその周期によるもの (= 人間の活動が温暖化の主因ではない) だ,ということを主張」 (Amazon.co.jp の内容紹介) しているということです.
これらの論点を比較的よくまとめた議論として,田中 宇 の 「地球温暖化のエセ科学」 があります.
人類活動による温暖化を否定する説についてはまだ十分にはしらべられていないので,あらたにわかったことはこの項目につけくわえていきたいとおもっています.
このように人類活動による温暖化を否定する説はいろいろあります. もしかするとそれらの説のうちのどれかがただしいのかもしれません. しかし,問題は,人類活動によって温暖化がおこっているのでない可能性がたかいとしても,もしその可能性があるなら対策するべきではないかということです. また,おもな原因が人類活動でないとしても,温暖化によって深刻な被害が予想されるのであれば,やはり対策をたてるべきでしょう.
また,上記のように温暖化しても影響はすくないという説もあって,もしかするとそれがただしいかもしれません. しかし,深刻な影響がおこる可能性を完全に否定することはできないでしょう. もし温暖化によって地球環境の不可逆な変化など,深刻な問題がおこる可能性があるなら,たとえ温暖化が単なる可能性であったとしても,きちんと対策しておくべきでしょう.