最近,石油価格が急激に上昇しています. 投機によって需要以上に値上がりしたぶんはいずれさがるでしょうが,需要そのものが大幅にふえている以上,それほどさがることは期待できません. そういうなかで,これまでトラックにたよってきた国内の貨物輸送はコストが上昇しています. くるしんでいるトラック輸送業界にさらに追い打ちをかけることにはなりますが,これは石油の消費がすくなく CO2 排出もすくない鉄道輸送を復興させるチャンスなのではないでしょうか?
トラックによる輸送が鉄道より石油をよりおおく消費し,CO2 をよりおおく排出させることはいうまでもありません. 電気自動車にすればそれらを削減することができますが,まだ長距離輸送に適した電気自動車はないでしょう. それに対して,火力発電が主流であるかぎり鉄道も CO2 排出にかかわりますが,もともとトラックよりは効率がよいうえに,CO2 を排出しない発電がふえればさらに排出量は減少します. 2006 年度のエネルギー白書 (第 2 部第 1 章第 2 節) によれば,2004 年度における貨物部門エネルギー消費量にしめるトラック (営業用と自家用合計) は 90.0% であるのに対して鉄道は 0.3% (比率は 300 倍),輸送機関別貨物輸送量にしめるトラックは 55.0% であるのに対して鉄道は 3.9% (比率は 14.1 倍) であり,鉄道の効率のよさをしめしています.
もともと国鉄時代に鉄道貨物輸送のくふうをおこたったために,民営化したときにはすでに手遅れになっていて,シェアを回復できずにいるのだとかんがえられます. 石油価格の上昇によってトラック輸送とのバランスがかわったいまがチャンスなのではないでしょうか?
トラック輸送業界がくるしんでいるときに鉄道輸送を促進する政策はとりにくいとおもいますが,温暖化防止のためには鉄道輸送を促進する政策をとるべきだとおもいます. (写真は 「mhtera: JR 貨物 コンテナ列車 2083レ」 から借用しました.)
関連項目 (2008-7-6 追記):