ACM (Association for Computing Machinery) のコンファレンスのひとつとして IMC (Internet Measurement Conference) というのがある. インターネット (IP ネットワーク) 上での各種の計測に関する学会である. 2007 年が 7 回めであり,毎年 30 ~ 40 件の論文が発表されている. この学会の論文の著者をしらべてみると,日本人が著者の論文はひとつしかみつからなかった. 日本にはインターネット上での計測の専門家はほとんどいないということだろうか?
インターネットを運用していくうえでは,さまざまな計測技術が必要になる. QoS を保証するには帯域,遅延,パケット損失などの測定が必要になるし,不正なトラフィックをおさえるのにも計測が必要になる. そのほかにもさまざまな場面で計測技術がつかわれる. 当然のことながら,計測技術は年々進歩しているし,そのためにはあたらしい計測技術の研究は重要である.
ここに日本人の発表がほとんどないということは,なにを意味しているのだろうか? 計測技術を研究している日本人が論文を投稿しても,この学会は採択率がひくい (22 ~ 44 %),つまりハードルがたかいので,なかなか論文が受理されないということもあるだろう. しかし,真の専門家であれば,このハードルをこえられるだけの研究をするだろう. SIGCOMM (Applications, Technologies, Architectures, and Protocols for Computer Communication) をみても日本人はすくないが,IMC ほどすくなくはない. したがって,やはりこの分野の研究者がすくないということはいえるとかんがえられる.
私自身もちかい分野にいながら,最近までほとんど無縁だった. もしかすると今後,縁ができるかもしれないが,いまのところは専門外といってよい. 昨年は計測にかかわる論文を書いたが,もっとマイナーな学会でみごとにおとされた. IMC はもっとハードルがたかい. しかし,このさびしい状況をなんとかしなければならないのではないかとおもえる.