Web 2.0 ということばが本来もつ意味をかんがえれば,それが集中型のシステムによって実現されるべき必然性はない. しかし,そもそも Web (1.0) そのものが原理的には集中型であり,Web 2.0 の代表としてあげられる Wikipedia (ウィキペディア), Google (グーグル), Amazon (アマゾン), 各種の SNS など,いずれをとっても特定の企業によって運営されている. その企業がたちゆかなくなったとき,おおくのひとの努力をあつめた Web 2.0 サイトは存亡の危機にたたされる. SNS に関しては実際に,突然,サイトが閉鎖されるということがおこっている.
Web は概念的にはもちろん,実装上も原理的には集中型のシステムであり,キャッシングなどの分散化のしかけをあとから追加することによって負荷などの分散をはかっている. Web サイトの運用も特定の組織によっておこなわれる. Web 2.0 のシステムもその点はおなじであり,営利,非営利をとわず,そのサイトの運営が経済的になりたつことが存続するための必須の条件である.
Google や Amazon に関してはサイトの閉鎖につながるような要因はいまのところ,ないようにみえる. しかし,Wikipedia に関しては,広告をみとめていないために経営的にくるしいともいわれている. SNS のなかには経営的な理由や他の運営者の都合によって閉鎖されたものがある. 突然閉鎖されれば,その参加者たちによって時間をかけて蓄積されてきた膨大な知識もそれとともにうしなわれる. こういうことは,Google や Amazon についてもおこらないとはいいきれない.
こういう問題点を解決するには,Web 2.0 (あるいは Web 3.0 ?) のための集中型ではないしくみをつくることが必要である.