本書は有名な KT 法の原典である.系統的な問題解決の方法を記述している. この方法は,状態把握,問題分析,決定分析,潜在的問題分析という 4 つの 「ラショナル・プロセス」 からなっている. 本書を読めば,これらのプロセスをどのように適用すればよいか,そのおおすじがわかる.
本書のもっとおもしろいところは,これらのプロセスの適用例として,おおくの実例がとりあげられていることである. これらの実例を理解することによって,KT 法をどう適用すればよいか,そのヒントをえることができる. 本書が書かれた時代のためだろうが,これらの例のおおくは生産現場や顧客への出荷にともなって発生した問題をとりあげている.
しかし,これらの実例をみると,それらにおいては KT 法によって必然的に問題が解決できたわけではなく,おおくのばあいにひらめきや常識にとらわれない判断などがきっかけとなって問題が解決されていることがわかる. 系統的に問題を詰めたことがこれらのひらめきや判断につながったのだろうが,KT 法以外のやりかたをとったときにくらべてよかったのか,わるかったのかは,これだけでは判断できない.
評価: ★★★★☆
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