「説得力のある,システム思考の必要性 ― 枝廣 淳子, 内藤 耕 著 「入門! システム思考」」 という項目で,システム思考の入門書の書評を書きました. 「システム思考」 に関しては有名なワインバーグの本 (「一般システム思考入門」 (紀伊國屋書店)) をはじめとして,多数の本が出版されています (たとえば,バウラー著 「応用一般システム思考」 (紀伊國屋書店),チェックランド著 「新しいシステムアプローチ」 (オーム社)). しかし,その大半はすくなくとも日本では品切れになっています. その理由はシステム思考が必要なくなったからではなくて,よみにくかったからではないか,それをよみやすくした上記の本にはそれだけの価値があるのではないかとおもいました.
「システム思考」 というのはつまりはシステム的なもののかんがえかたであって,それについての本は,それほど明確な知識をあたえてくれるとはいえません. したがって,よくわからない話を延々とよまされるという感じがあるようにおもいます. はやっているあいだはそれでもがまんして読むひとがいるでしょうが,やがては 「システム思考」 ということばじたいがわすれられて,だれもよまなくなり,本は品切れになるということではないでしょうか?
わすれられないようにするためのひとつの方法が,上記のような入門書を書くことだとおもいます. 最低限のエッセンスだけでも紹介しておけば,興味のあるひとはワインバーグなどの (品切れになっていない) 本を読むことができます.
しかし,わすれられないだけでなく普及させるためには,もっと具体的な方法を開発する必要があるとおもいます. 柔軟なところがシステム思考のよさだとはいえるでしょうが,それをある程度ハード化というか手順化して,ある程度容易になぞってみることができるようにすればよいのだとおもいます. たぶんそういう具体化された技法は存在しているとおもうのですが,もはや 「システム思考」 とはよべなくなっているので,システム思考との関係もわかりにくくなっているのだろうとおもいます.