著者はプレカリアートあるいはワーキングプアがうみだされる背景を分析し,プレカリアートを搾取する日雇い派遣などのビジネスを糾弾している. そして,立ち上がるプレカリアート (とともにたたかう著者) がいる一方で,そういう行動に批判的なプレカリアートがいることも具体的な取材にもとづいて書いている. 座談会を企画しているが,そのなかに努力しない若者をなげく 61 歳の女性もまじえているのがよい. また,石原都知事と著者との対談ものせているが,火花をちらしそうな雰囲気もあるなかで,都知事からある程度有意義な発言をみいだしているようだ.
冒頭にプレカリアートということばがイタリアでつくられたことが紹介されているが,そういう世界規模の問題であるだけに容易に解決できるものではない. しかし,解決をめざしていろいろくふうしている著者を応援したい.
評価: ★★★★☆
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