アメリカで殺人事件の陪審員にえらばれた学者が,召喚されて陪審長とされてから無罪の評決をするまでを記憶をたどりながら書いている. 検察が被告が正当防衛でないことを証明できていないことが無罪とする理由だが,その結論を全員が支持するまでに 4 日かかり,その間にさまざまな経験をしている. 著者は陪審員にえらばれて自由をうばわれ,へたをすると投獄さえされかねない 4 日間の経験をした結果,国家にもっともおもい立証責任を課すべきであることを痛感し,それが無罪判決をささえている.
この記述のなかから,アメリカの陪審制度や裁判に関する問題点をかいまみることもできる. この陪審においては理知的な陪審長がうまく陪審をリードしているが,いつもそんなにうまくはいかないだろう. また,時間をかけて証拠品のビデオを再検討したりしているが,そうしなければ検察のいいぶんをそのままみとめてしまっていたかもしれない. こうしたことは裁判員制度についてかんがえるときにも,やくだつだろう.
評価: ★★★★☆
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