株,債券,インターネット上のさまざまなとりひきなど,経済のバーチャル化がすすんできましたが,最近はリアルな商品が買われています. そのために原油,食糧などの価格が高騰して深刻な事態をまねいていますが,リアルな商品がみなおされてバランスが回復されようとしているのだとかんがえることができます. これは経済の健全なうごきだということがいえるのではないでしょうか?
むかしは国ごとに中央銀行がモノとカネのバランスをとることによって,経済を制御していました. デフレになればカネをふやし,インフレになればカネをおさえる. ところが,現在ではバーチャルな経済つまり株式,債券,先物市場,さらにはインターネット上のさまざまなとりひきなどがどんどんふくれあがって,モノにささえられたリアルな経済よりずっとおおきくなってしまいました. そのため,モノとカネのバランスはくずれてしまいました.
それだけならよかったのですが,最近はそのふくれあがったカネがリアルな市場にながれこんできました. そのため,原油価格やさまざまな工業原料,食糧などの価格が暴騰しています. 食糧の高騰は世界各地で暴動につながり,燃料や原材料の高騰でさまざまなな産業が危機的な状態におちいっています. 日本でも賃金が上昇しないなかで物価が上昇し,運送業,漁業をはじめとして,おおくの産業がおおきな打撃をうけています.
しかし,リアルな商品の価格があがっているということは,これまでバーチャルな経済がいわば自己完結的にうごくという “異常な” 事態がつづいてきたなかで,リアルな経済がみなおされ,正常化がすすんできたといえるのではないでしょうか. リアルな商品がみなおされれば,バーチャルな世界がふくらんでいる以上,そのカネがリアルな世界にながれこめば,リアルな商品の価格は高騰せざるをえません. しかし,いずれはバランスがとれるとかんがえられます. わるくすればハード・ランディングになるかもしれませんが,経済というものは,やはりちゃんとバランスがとれる方向にうごくものだという意味では安心することができます.