「裁判員のための図式化された情報分析判定法の案」 においては,判決をくだすための情報分析法が裁判員に理解しやすいように図式的にしめされるべきだとのべた. そこでは第 1 のステップが有罪か無罪かの判定だとのべたが,そのための方法はしめせなかった. ここでは刑法の理論すなわち刑法総論にもとづいてその判定法についてかんがえる.
裁判員制度においては,裁判員に理解できるかたちで有罪か無罪かを判定する論理がしめされるべきである. 裁判員は自分の常識にしたがって判断するべきであるから,かならずしもこの論理にしたがう必要はないが,裁判員制度においては裁判官と裁判員との合議によって判決がだされるので,裁判員が異議をとなえるときはすくなくとも刑法理論のどの部分あるいはどの部分の適用に問題があるのかがあきらかにされる必要があるだろう.
したがって,刑法理論にもとづく判定の論理を図式的に表現する必要があるとかんがえられる. 「C Book 刑法 I 総論」 には学説ごとに判定の方法がフローチャートとして表現されている. そのうちの団藤説を下図に引用する. ここでは単に有罪か無罪かが判定されるだけでなく,予備罪,未遂罪,故意犯,過失犯などのくべつがなされる. 他の 2 説も大半の部分はこのフローと一致していて,根本的にちがうわけではない. したがって,これらをうまくまとめて用語をわかりやすく説明すれば,裁判員にも理解できるようになるのではないだろうか?