たしか,昨年の途中までは,勤務先の会社のなかから Wikipedia (ウィキペディア) にかきこむことができていました. Wikipedia に書くことは業務ではないので,会社にとってはインターネットの目的外使用であり,名目上は禁止された行為でした. しかし,これは一種のメセナ (社会貢献) とみなすことができます. ところが,ウィキスキャナーが登場し,自社に有利なかきこみをしている会社がみつかるとともに,かきこめなくなってしまいました. 実質的にも禁止せざるをえなくなったということでしょう.
仕事のうえで Wikipedia を利用することがときどきあります. つかっているうちに,あやまりや不足に気づくこともしばしばあります. そういうとき,ちょっとかきこむことができれば,Wikipedia に貢献することができます. 以前,私も社内からちょっとしたかきこみをしたことがあります. しかし,いまはそれはできなくなってしまいました. 問題点を記録しておいて,自宅にかえってからかきかえることはできますし,そうすることもあります. しかし,はるかにてまがかかるので,ちいさな問題についてはそのままほうっておくことになりがちです.
また,もっと本格的な貢献をかんがえることもできます. 仕事のなかで必要になった調査の結果はかならずしも社外秘情報ではありません. それがほかのひとにとって有用なら,それを社外で利用してもらうことは,むしろのぞましいことだとおもいます. Wikipedia へのかきこみもそのひとつです. しかし,情報漏洩事件などが多発するとともに,こうした貢献をはばむカベはどんどん,あつくなっています. ウィキスキャナーのばあいは通常の情報漏洩とはちがいますが,かきこみを制約する原因になってしまいました.
いまでも,もちろん個人として Wikipedia に貢献することはできますし,実際そうしています. しかし,Wikipedia から会社として,あるいは会社の一員として利益をえているにもかかわらず,そこに会社の一員としては貢献することが困難になってしまったことは,残念なことです.